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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第3.5章:宙は燃えているか
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3.5-6:カワル宙⑥

此処も強化しないとね?

 ドクターと悪巧みをした翌日、10月27日。朝からソフィー達と2日連続のミーティングとなった。まぁ、ミーティングと言っても、お茶と茶菓子片手にざっくばらんな雑談がメインではあるけどね。ちなみに、参加者はオッサン、ソフィー、シャンインの3人のみ。ドクターには研究開発に専念して貰いたいし、サウサンは前線の監視で忙しいからな。


 「さて、昨日ドクターと話をしている中で、病院船を建造する事になってね? まぁ、最初は既存の輸送艦をベースにするつもりなんだけどさ。で、これを使ってスキンヘッド紳士に嫌がらせしようと思ってさ」

 「あの男から力の源泉を取り上げると? しかし、そう上手く行くでしょうか? 向こうとて、此方の狙いに気が付けばあらゆる手を講じてくるかと」

 「ソフィーの言う通りですわ。コロニー内部で配下を使って脅しまわるなど朝飯前ですの。どうやって患者を確保しますの?」

 「先ずは、コロニーへ病院船の噂を流布と共に実際に姿を見せ付ける。一定期間は無償で治療を行うって噂を流すのも良いかもな。スキンヘッド紳士が力で締め付ければ、民衆の反発は強まる。かと言って、受け入れれば彼は徐々に力を失う。どっちにしろ、此方は経過を見ているだけで良いだろ? その間に、例のオバサンをこっちに引き入れれば良いさ」


 ソフィー達が懸念する通り、あのスキンヘッド紳士が簡単に病院船の利用を許すとは思えない。例え護衛艦隊が砲塔をコロニーに向けた所で、屈したりはしないだろう。あの手の男は、そう言った荒事混じりの交渉事には慣れているものだ。だから、先ずは噂を流す程度に留める。ボールを彼に投げるのだ。後は、彼次第。


 「まぁ、彼自身に病院船の患者になって貰う事も考えたけど、色々と仕込むリスクを考えるとね?」

 「そうですね。病院船の建造と噂の流布程度ならば、大したリスクにはなりません。姿を見せるにしても、護衛艦隊が同行すれば彼は何も出来ないでしょう。自ら、虎の尾を踏む真似をするほど愚かでは無いでしょうし」

 「残念ですわ! あのハゲの絶望した表情を見るのが楽しみでしたのに……」

 「いや、最終的にはそうなる可能性高いと思うけどね? ってか、シャンインそんな事を考えていたのかよ……」

 「当然ですわ? いけ好かないクズには、お似合いの末路ですもの!」


 どうやら、シャンイン的にはスキンヘッド紳士はいけ好かないクズという認識の様だ。まぁ、オッサン的にも決して好きなタイプの人間では無いな。なので、彼を追い詰めて破滅させる事について、特に思う事は無い。敢えて言うならば、最後くらいは選ばせてあげられればと言う程度だろう。えっ? お前、何様だって? オッサン様だよ。


 「出来れば、彼には名誉ある死を選んで貰いたいかな?」

 「無様に、蜂の巣になる方がお似合いですわ?」

 「シャンイン、せめて裏路地でやりなさいよ?」

 「いや、止めようね!?」


 ソフィーも何だかんだシャンインに毒されていると言うか、意外と素は腹黒いっぽいと言うか。時々、怖いと思う時があるのですよ。まぁ、それがオッサンに向けられない限り、放置で良いとは思いますが。


 「では、一先ず病院船の建造を待ってガルメデアへ仕掛けると言う事で宜しいでしょうか?」

 「あっ、それと並行して揚陸艦の建造と陸戦要員の手配も進めよう。今後の上陸戦を考えると、ガルメデアで練習出来る機会があれば良いかな? まぁ、全てはスキンヘッド紳士次第か」

 「そうですね。では、私の方でシャラナ・アートマンへの接触を開始します」

 「なら、私はあのハゲを少しばかり煽りますわ? 慌てて何かしら動けば、介入する理由を自ら提供する様なものですもの。ふふっ、楽しみですわ……」


 どうやら、シャンインはオッサンより先にスキンヘッド紳士を相手に好き勝手やる様です。まぁ、最後の帳尻さえ合わせてくれれば問題無いか。


 「さて、ガルメデアはこれ位で良いとしてだ。要塞の強化について何か要望あるかな?」

 「そうですね。先ずは、司令室の拡張と、それに合わせた形でのオペレーター席の増設でしょうか。生活スペースに関しては、現時点で空室が2部屋あります。ヴァルドリッジ中将らを迎え入れても足りるかと。それに、ナターシャさん達が要塞から去れば、部屋に余裕が出来ますしね」

 「司令室の拡張にオペレーター席の増設か。補佐は2人ずつだから、取り合えず4席設置が必要だよな。配置はどうする?」


 これまでは最大でも5人しか居なかった司令室だが、ソフィー達の補佐を担うアンドロイド達が増える関係で手狭になる。オッサンの司令官席の背後に、ソフィー達のオペレーター席が背中合わせの形で並んでいる。そこにそのまま補佐の4人が入ると、縦長になっちゃうよな。そもそも、司令室を拡張したら部屋の形も変わるのだろうか?


 「司令室の拡張で、部屋の形状が大きく変わります。より司令室らしくなると言うべきでしょうか?」

 「司令室らしさってのが良く分からないが、多分イメージの問題だよね?」

 「とっても、使いやすくなりますわ? リクライニングにフットレスト完備、マッサージ機能もありますの。後はドリンクホルダーもありますし、各席に小型の冷蔵庫もありますわ!」

 「それ、オペレーター席じゃないよな!? 完全にダメ人間製造席だろ!?」

 「良い仕事には、快適な労働環境は必須ですわ!」


 リクライニング、フットレスト、マッサージ、ドリンクホルダー、ミニ冷蔵庫。最近のオペレーター席ってのは、そこまで必要なものなのだろうか? まぁ、それで良い仕事をして貰えるならば……。


 「一馬さんの席も、アップグレードされますよ。きっと、気に入って頂けるかと?」

 「そうなの? まぁ、拡張してみようか」


 端末からシステムを呼び出し、それぞれ2ポイントずつで合計4ポイントを投入して強化する。さて、どう変わったのかな? いの一番にミーティングルームを飛び出して隣の司令室へと飛び込んだシャンインに続き、拡張された司令室へと足を踏み入れた。


 「マジか……」


 その変容の様は予想以上だった。確かに、要塞内部はある種の異空間であるとは聞いていたが、これは予想の範疇を超えてきてるだろ。白い壁で囲まれていた司令室はその形を大きく変えている。全体の形は扇形だろうか? 階段状になっており、狭くなる側が広い方から見て2段高い位置になっている。扇型の弧に当たる部分は壁一面にモニターが設置されている。要塞内部各所の映像や、外部の映像、更には前線艦隊からの映像も其処には映し出されていた。


 席は、広い側から4席・2席・1席と設置されている。配置形態から見て、新人4名、ソフィー&シャンイン、オッサンの席順かな? いや、敢えてオッサンが1番下段かつ前の席を使うのも面白いかも?


 「一馬さんの席は、此方ですよ?」

 「あっ、ハイ」


 残念ながら、最上段の席だそうです。まぁ、分かっていた事ですけどね? それにしても、随分と様変わりしちゃって。オッサン、ちょっとばかりホームシックになりそう? いや、多分すぐに慣れるな。何だかんだ、神経図太いって良く言われるからさ。


 「ドクターとサウサン用の補助席も、一馬様の後ろに用意されていますわ」

 「えっ? おっ、凄いじゃん!」


 シャンインの声に反応した訳では無いのだろうが、新司令官席の後ろに2つ背中合わせの席がせり上がってきた。なるほど、常設のオペレーター席に比べると幾らか簡素にはなっているが、必要最低限のものは備わっている様だ。ドクターとサウサンは必要に応じて此処で役割を果たすと。


 「如何ですか? 新しい司令室は」

 「ん? そうだな……」


 広くなり、設備も強化された。労働環境としても、かなりの向上が見られる。追加人員用の席もあるし、段差が出来た事で全体を見渡すのも楽になった。見た限り、問題はなさ……。


 「凡そ、良いとは思うよ? たださ……」

 「何でしょうか?」

 「バーカウンタが司令室にいるかな!?」


 司令室の片隅に、洒落たバーカウンタがあるってどうなんだろうね!?

お読みいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに!

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― 新着の感想 ―
[一言] いつも読ませてもらっています。 楽しみにしています。 ありがとうございます。 このオッサン、ご都合主義の結果なのにどや顔で回りにマウントしまくりで、現実世界にいたならDQNで自己中で近づき…
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