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34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第1章:歴史の始まり
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1-13:尋問②

まだまだ続くよー!


※前書きが何時も適当なのは謝罪案件

 さて、ご指名の様だから尋問に立ち会うべきだろう。とは言え、シャンインの考えもあるだろうから、まずは事前打ち合わせだな。


 「えっと、通信端末を起動して……、この場合はソフィーの連絡先を呼び出せば良いんだよな?」


 今はシャンインだけれども、ソフィーとして登録されている以上はそれで問題無いはず。ソフィーの名前の部分をタッチすると、呼出中の表示に切り換わる。この辺は、スマホとかタブレットのまんまって感じだな。


 『シャンインです。そちらからの音声は私にしか聞こえない様になっていますので』

 「そうなの? まぁ、良いか。それで、俺はそっちに向かうべきだろうか?」

 『……この男の思い通りになるのは不愉快極まりないですが、情報を得る機会を逃すのも考えものかと』

 「まぁ、有益な情報を持っているかどうかは不明だけどね。ハッタリの可能性も有るしな」

 『その時は、この男の命を以って償わせますので、ご安心下さい』

 「いや、安心出来ないよ!?」

 『冗談ですわ』

 「……」


 冗談に思えないのがシャンインの怖い所だよな。ソフィーに比べて思考が結構過激的な気がするな。それぞれの人格毎の個性と言えば聞こえは良いけれども、シャンインはもう少しマイルドになって欲しいかな。


 「まぁ、取り合えずそっちに行くよ」

 『お待ちしております』

 「じゃ、切るよ」


 通話終了を選んで、通信を切断する。さてと、監獄エリアは軍事ブロックだったな。あ、でも場所が分からないな……。外にいる戦闘アンドロイドなら場所を知っているだろうか。試してみて、ダメなら恥を忍んで再度シャンインに連絡を取ろう。


 「確か、司令室の外にいるって言ってたよな……」


 記憶を頼りに、外へと繋がる扉のロックを解除して外へと出る。すると、両側それぞれに軍服を着て直立不動の状態で待機していた存在に気が付いた。彼らが戦闘アンドロイドと呼ばれる存在なのだろう。考えたら、彼らの姿を見るのはこれが初めての事か。何て言うか、言われなければ人と区別が殆ど付かない位に似ているな。敢えて言うならば、どこか無機質な感じを受ける事だろうか。


 「悪いけど、軍事ブロックの監獄エリアまで案内してくれるかな?」

 『了解シマシタ、香月司令官』

 「宜しく」

 『此方デス』


 何処となく、片言っぽく聞こえるのはアンドロイド特有の声帯とか何だろうか? まぁ、意思の疎通が取れるなら特に問題は無いな。英語とか喋られても全く分らんし。オッサン、日本人だから。




 『此方が監獄エリアとなります』

 「結構、奥の方に有るんだな。ありがとう。えっと、そこが面談室か。悪いけど、此処で待機してて貰えるかな?」

 『了解シマシタ』

 「じゃ、また後で」


 敬礼して見送ってくれる彼らに軽く礼を返してから、面談室の扉前へと立つ。一呼吸してから扉をノックする。直ぐに、扉が横へとスライドしてシャンインが顔を出した。


 「ご足労をお掛けし、申し訳ございません」

 「いや、構わないよ。まぁ、尋問とかの経験無いけどね?」

 「フォローは私が致しますので、ご安心下さい」

 「頼むね。さて、入ろうか」


 当然ながら、此処までの会話は声のボリュームを落として話してる。流石に、尋問の経験が有りませんとかアピールしながら中に入る勇気は無いよ。まぁ、さっきまでの会話を聞く限り、アイザフ船長はそれなりの経験を積んでいるだろうから、直ぐにバレるだろうけども……。


 「お邪魔するよ」

 「…貴官が此処の司令官殿か?」

 「初めまして、アイザフ船長。ランドロッサ要塞の司令官を務めている香月一馬です」

 「私は貨客船ディーシー号の船長を務めている、バンロック・アイザフです。香月司令官殿」

 「宜しく」

 「此方こそ」


 挨拶と共に右手を差し出すと、アイザフ船長はしっかりと握り返してきた。結構と言うか、かなり力が強い。アイザフ船長と握手をしながら、互いの視線がかち合う。彼の蒼い瞳の奥には、どんな思いが秘められているのだろうか。此方を観察する様な彼の視線に真っ向から見つめ返しつつ、そんな事を考えていた。


 「さてと、お互い無駄話をしている時間は無いでしょうから、本題に入りましょう。アイザフ船長、私に何を聞かせて頂けるのかな?」


 先ほどまでシャンインが座っていた椅子に座り、早速そう語りかける。無駄話はしないというか、余計な事を話すと色々とボロが出そうなんだよな。だから、さっさとアイザフ船長に話をさせるべきだと判断した。彼がそれにのってきてくれれば良いが……。


 「その前に、保障が欲しい」

 「保障?」

 「香月司令官殿の名に置いて、我々乗員と乗客全員の身の安全を保障して頂きたい」


 アイザフ船長はチラっとシャンインの方を見つつ、俺にそう提案してくる。この要塞トップの俺の確約が有れば、シャンインとて手を出せなくなると踏んでの事だろうな。まぁ、ぶっちゃけシャンインにそのつもりがあるとは思えないけれども、それを態々指摘する必要は無い。相手が勝手に手札を切ってくれるなら、それに乗るのも良いだろう。


 「分かりました。ランドロッサ要塞の司令官として、皆さんの身の安全は私が保障します。シャンインもそれで良いな?」

 「はい。私に異論は御座いません」

 「感謝する」

 「では、全て洗い浚い吐いて貰いますよ? 話の裏は取りますので、万が一に1つでも嘘が有った場合は……全員を宇宙遊泳にご招待します」

 「っ!? 香月司令官殿、それでは話が違うでは無いか! 保障すると言ったばかりだぞ!」

 「此処は、私が司令官を務める要塞です。つまり、私がルールなんですよ。そうだな、シャンイン?」

 「勿論ですわ。誰も香月司令官様に逆らいませんもの」

 「貴様っ!!」


 激昂して椅子から立ち上がろうとしたアイザフ船長を、シャンインが片手で簡単に抑え付けている。凄いな、相応の体格を誇るであろう彼が小柄なシャンインに力で敵わないとはね。彼女を怒らせる事だけはしない様に気を付けよう。


 憤怒の表情のアイザフ船長に内心ビビってます。でも、オッサン的に人生で1度は言ってみたかったセリフ、『俺がルールだ!』を言えて、凄く大満足している。当然ながら、彼らが嘘を言った所で宇宙遊泳をさせるつもりは無い。流石に身の安全を保障した以上はそんな事はしない。ただ、会話の主導権を握る為に敢えて彼を怒らせただけ。


 「怒りに身を任せては破滅するだけですよ、アイザフ船長?」

 「……」

 「おっと、怖い怖い」

 「……」

 「激昂したと思ったら、次は沈黙か。まぁ、好きにしてよ。こっちで勝手に話すからさ」


 シャンインに抑え付けられ怒りの表情を俺に見せつつ、此方の出方をさり気無く探っているな。ふむ、わざと怒らせたのも見抜かれていると考えるべきかな。まぁ、どっちでもいいか。早速、カマを掛けて行こう。


 「それで? フォラフ自治国家トップの娘を連れての逃避行はどうだい?」

 「っ!」

 「おっと、いきなり当たりとは吃驚だ。適当にカマを掛けてみるものだな」

 「……っ」


 オッサン、驚愕するの巻。有り得そうな展開の中から適当にカマを掛けたら、一発で事実を引き当ててしまうとは。この要塞に来てリアルラックとやらが向上したのだろうか。今なら宝くじとか当たるんじゃね?


 「逃避行の理由は、そうだな……。ボルジア共和国から参戦要請に加えて、ご令嬢を留学と称して事実上の人質として送り出す様に要請でも受けたかな?」

 「……」


 瞳孔が僅かに動いたな。これも当たりか。いやはや、オッサンはエスパーにでもなった気分。それにしてもアイザフ船長、少しばかり顔に表情が出過ぎじゃないだろうか? もし、それらが全て演技なのだとしたら凄いけどな。


 「沈黙は肯定と取りますよ? シャンイン、乗客の女性2人を此処へ連れて来てくれないか?」

 「了解しました。私は香月司令官様の警護が有りますので、彼らに行かせますわ」

 「宜しく」

 「……ってくれ」

 「ん? 何かな?」

 「……待ってくれと言った」

 「だそうだよ、シャンイン?」

 「待つだけの価値が有るお話を期待しますわ、アイザフ船長?」


 アイザフ船長から手を放し、面談室の扉へと向かうシャンイン。そんな彼女に対して、苦みを噛み潰したかの様な顔をしながら声を絞り出すアイザフ船長。彼女は俺の横へと戻り、静かに彼を見下ろす。漸く、話し合いに臨めそうだ。全く、最初から話してくれれば無駄な時間を減らせるのにね。オッサンなら、直ぐにペラペラ喋るぜ!

お読みいただきありがとうございました。

少しずつ、ブックマークして下さる方も増えてきて、作者として嬉しい限りです。

次回もお楽しみに。

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