表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34歳のオッサンによるフォルトリア星系戦記  作者: 八鶴ペンギン
第1章:歴史の始まり
10/336

1-10:不明艦の正体①

戦闘描写とか無理(真顔)

 第1分艦隊の無事の帰投を見届けた俺は、ソフィーと次の出撃について相談している。


 「取り合えず、次は交戦も視野に入れての条件の入力すべきだな」

 「そうですね。所属不明艦が1隻であるならば、数的な優位は此方に有ります。1隻を先行させて相手の出方を見つつ誘き出し、後続艦で退路を断ってからの挟撃がベストでしょうか」

 「複数いる場合も、性能差を考えるとその案でいけるか。流石に、20も30もデブリ帯に潜ませているとは考え難いだろうし……」

 「撤退条件で、数的差を予め設定しておくことで、リスクは減らせますね」

 「よし、なら条件はこんな感じかな」


 出撃内容:ランドロッサ要塞周辺宙域にて、所属不明艦の調査及び情報収集。

 出撃艦隊:第1分艦隊(アスローン級駆逐艦×2)

 出撃時刻:フォルトリア星系歴524年5月18日15:00

 帰還時刻:帰還条件達成次第帰還

 帰還条件:所属不明艦の解明及び無力化・拿捕(状況次第)

 撤退条件:15隻以上の所属不明艦との交戦状態への突入

 追加条件:随時直接指揮・交戦可・不明艦撃沈不可


 前回の初出撃との違いは、追加条件の部分だろうか。前回は特に何も設定していなかったが、今回は状況が状況なので細かい条件を追加してある。


 「条件が少し厳しいかな?」

 「まだ戦闘を管理するAIが経験不足では有ります。ですが、此処から適宜指示を直接出す事も可能ですので、状況次第で臨機応変にいけば問題無いと考えます」

 「よし、慌ただしいけれども、所属不明艦をそのままには出来ないからな。出撃させよう」


 第1分艦隊は、帰投後に推進剤の補給を終えると直ぐに出撃する事になる。無人艦だからこそ出来る芸当とも言えるか。まぁ、有人艦でも戦闘中はそうせざるを得ないだろうけどな。何はともあれ、次は状況次第では此方から指示を出す必要が出てくる。ソフィーが傍にいてくれるとは言え、素人の自分に何処までの事が出来るかは不明だ。だけど、オッサン少しだけワクワクしている。男だからな!


 「第1分艦隊、出撃!」

 『指令、受託。第1分艦隊。出撃』

 「所属不明艦発見までは、頼むぞ?」

 『お任せ下さい』

 「発見後は……ソフィー、フォローを頼むよ」

 「了解しました、香月司令官」


  情けないが、新米司令官には1人じゃ荷が重すぎる。折角、補佐官がいるのだから公平に分担しないとね。カッコ悪いとか言われようが、構わん。命が大事だからな。


 「該当宙域の到着時刻は?」

 「概ね、16:30前後かと」

 「10分、……いや15分前から直接指示が取れる様に待機しよう。不明艦が元のデブリ帯にそのままいるとは限らないからさ」

 「了解しました。では、その様に」

 「ソフィー、悪いけどそれまでの間、此処を頼めるかな? ちょっと、一息入れておきたい」

 「分かりました。一時的に指揮権をお預かりします」

 「宜しく!」


 色々と事態が動いたせいか、少し身体が強張っているのを少し前から実感していた。だから、ソフィーには無理を言う形にはなったけれども、部屋で一息入れようと思う。コーヒーでも飲んでリラックスしよう。例え無人艦とは言え、指揮を焦って撃沈などされたくは無いからな。




 「ソフィー、ありがとう。お陰様で、リラックス出来たよ」

 「それは何よりです。今後も何か有れば、お気軽に仰ってください」

 「その時はまた頼むよ」

 「えぇ。お任せ下さい!」


 慣れてきたら、ソフィーに交代で休憩にでも行って貰うべきなだろうけれども、今は素人1人では不安なので頑張って貰おう。


 「該当宙域まで、残りどれ位?」

 「後20分程ですね。直接指揮に切り替えますか?」

 「えっと、戦闘AI。取り合えず、2隻の間隔を広げて貰えるかな?」

 『了解しました』

 「取り合えずは、これで様子を見よう」

 「了解しました」


 先ほど、軍港の様子を映し出していたディスプレイには、映像の代わりに要塞周辺の宙域図が表示されている。緑色の△2つが出撃した駆逐艦を現している様だ。先ほどの指示通り、適度な間隔をあけて2隻の駆逐艦が宙域を進んでいる。万が一、前回同様にデブリ帯から攻撃を受けたとしても、後続艦が背後を突く事が出来る。まぁ、あくまで相手が1隻ならばの話だけどな頼むから、複数いるなよ。


 「香月司令官。完成した思考爆雷を周辺宙域へ展開させますので、何か有ればお声がけ下さい」

 「了解。そっちは頼む」

 「お任せ下さい」


 流石に艦艇を建造するのと違って、爆雷の生産は短時間で済むな。まぁ、数が数だから時間が短いのは大変に有難い。展開もソフィーがやってくれるから、俺は宙域図に専念出来る。優秀な補佐官万歳!


 「戦闘AI。駆逐艦のレーダーに反応は?」

 『現在の所、艦影は確認出来ません』

 「了解。2隻の距離に注意しつつ、監視を続行してくれ」

 『了解しました』


 そう言えば、所属不明艦の艦種は何だろうか? 巡洋艦クラスだったら、こっちよりも強力なレーダーを搭載しているよな。既に捕捉されている可能性も有るだろうか……。


 「戦闘AI。所属不明艦の艦種は判明しているか?」

 『攻撃の規模、威力から推察するに駆逐艦クラスと想定しています』

 「そうか。ありがとう。引き続き警戒を頼む」

 『了解しました』


 駆逐艦クラスか。それならば、彼我の探索能力はそう大差無いだろう。ただし、向こうはデブリ帯による地の利がある。初手は受けに回るしかないか……。まぁ、それも相手がまだデブリ帯に潜伏していた場合に限られるけどな。既に居ませんでしたとかだったら、……笑えはしないな。一応の安全が確認出来たって程度にしかならないか。


 「香月司令官。思考爆雷の展開が完了しました」

 「ありがとう。取り合えず、此方も『所属不明艦より発砲確認!』……って、お出ましか」

 「どうやら、移動しつつもデブリ帯に潜伏を続けていた様ですね」

 「あぁ、何か目的があると見て良さそうだな」

 「挟撃しますか?」

 「勿論。戦闘AI。他の潜伏艇に警戒しつつ、挟撃態勢に!」

 『了解しました』


 所属不明艦が何を狙って今尚この宙域に潜伏しているのか、何故此方に攻撃を仕掛けて来たのかは、現状不明のままではあるが致し方が無い。敵艦の無力化を念頭に此方も反攻といこう。


 「1番艦、回頭。所属不明艦の正面に出ます。双方、交戦開始。続いて2番艦、不明艦後方より接近。退路を遮断。交戦開始」


 宙域図を見つつ、ソフィーが状況を冷静に読み上げる。出撃条件に交戦可としてあったので、此方からの指示を待つこと無く、無人艦は攻撃を開始する。


 「1番艦は、距離を取りつつ、相手の頭を押さえ続けろ! 2番艦は、不明艦のスラスターを狙え!」

 『了解しました』


 おっかな吃驚と指示を出すけど、意外と様になっているかもしれないと自分では思う、オッサン。いや、何となくそれっぽい事を言ってるだけだけどね? 取り合えず、相手の脚を潰して逃走だけは阻止をしたい。まぁ、拿捕は状況次第ではあるけれども、何らかの情報が入手出来る可能性も有るし、チャンスが有れば狙っていこう。


 「不明艦。左舷姿勢制御スラスター損失。旋回速力低下!」

 「よし、1番艦は牽制射撃に移行! 2番艦は右舷のスラスターを狙え!」

 『了解しました』


 2番艦で背後からスラスターを狙いつつ、1番艦で相手の逃亡を阻止する。本当なら、エンジンを直接狙うのが良いのだろうけれども、万が一それが原因で撃沈してしまったら拙いので避けざるを得ない。頼むから、うっかりエンジン直撃とか勘弁してくれよ! むしろ、さっさと降伏してくれと切実に願うオッサンであった。

お読みいただきありがとうございました。

次回は17日の投稿を予定してます。少しでも書き溜めせねば……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ