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██の斬獲者 王魂狂蟲


金は不変だ。故に、金は蓄える。魔力を、意志を、力を、そして呪いを。


聖銀(ミスリル)煌星核(スターハート)の間の繋ぎの種族として選択した呪金(カースゴールド)の特性は呪詛の蓄積。呪詛系の状態異常やアンデットの瘴気を蓄えてスキルとして放つ。既に魔弾のスキルの素材にしてしまったし、種族特性も変わってしまったから縁のない物だと思っていたが。


首を撥ねた熊の方向から赤いラインが生じた時点で刀を反射的に降っていた。


「チッ!」


首の断面から生えてきたのは百足。鎌状の腕を振るいこちらを狙って来た。


『jurararara!』


交錯。また嫌な音を立てて刀の罅が増える。もう持たんな。継いで、大太刀を握っていた左腕に痺れ。直後、『帯電』『呪詛』のアイコンが発現する。一瞬HPの上限下降速度が大きくなり、そして直後にアイコンが焼き消えた。


『死熱』の伝染で状態異常まで消えるのは初めて知ったな。しかし、打ち合うだけで状態異常発生するタイプか、面倒だな。


「ファケリーさん!?『インペリアルオーラ』『大号れ「止めて下さい!!今これ以上バフ貰うと死にます!!!」はいぃ……?」


あっぶね殺す気かよ!?


幾つか高倍率バフ貰えば勝てるかもしれんがその前に死ぬ……!


納刀、鍵を取り出して形状を大太刀に。


これで刀の耐久値は心配いらんな!


『jurururu…gujuraaaaaaaa!!』


その間に熊……否、百足は堕ちていた首を拾って取り付け咆哮。ちょっと昔のゲームで見たことあるぞこれ!?


「寄生虫型モンスター……?そんなの知らない……」


「私も知らん……」


情報通のれなとモンスター絡みのジョブのガルザークまで知らんとなるとマジでワンオフか。下級や中級のユニークは類似例が確認されてるらしいしレイドや上級相当か?


地面を蹴り駆け寄る。時間も少ない。


『gugyujuraraarraaaaaa!!』


歪な獣が吠える。地面から吹き出る赤いラインが示すのは黄金の杭。横に並べて壁状に生成されるようだ。寄生元が完全に死んでもスキル使えるのか……


「チッ!!」


切り伏せる。直後に飛んでくる熊の拳。蹴り上げて弾く。


『juraaaaaa!!』


足まで使ってバランス取れないと見るや首をズラしてずるりと出てきた本体で鎌攻撃。


結構長いのかリーチあるのも面倒。体を逸らして紙一重で回避。後隙に蹴りと斬撃入れてから離脱。


斬った部分からは体液が出てるが想像よりダメージ出てない。やっぱり影でできた耐久値無限の模倣品じゃ『死熱』 は発動しないか。


『gyuruuuru!』


百足が鎌を突き刺す。直後に周辺に杭のラインが発生。


突き刺しモーションなんて今まで取ってないよな?


「『ハイジャンプ』!」


ケツでスマホ潰した時みたいな本格的に嫌な音が足からしたが無視。死ななきゃ安い!


『Gyuruaaaaaaaaaaa!!!』


百足の不愉快な叫びと共に大量の赤いラインが周辺を埋めつくした。


ジェリンドの巨大水晶落としと同じタイプの嫌な予感だ、不味い。


「逃げて!!」


パーティーメンバー達に辛うじて叫んだ直後、大放電。紫電が辺り一帯に撒き散らされる。


「あっばばばば!?いたっ」「きゅう……」「あびゃー!?」「しびれびれ〜……へぶっ」


「ちょっと不味くないかねこれぇ!?」


「『ショックコンバート』!ちょっとじゃなく不味いです!とりあえずテイムモンスターを守っててください!」


咄嗟に盾でガードしたお姉さん、範囲外で滞空していたグリフォン以外がテイムモンスターまで含めて全員麻痺でぶっ倒れている。ガルザークとレーズンは派手に落馬して顔からいってら……生きてるのは身代わり装備してたからか、どちらにせよ後衛が動けないのは不味い……!


…………これ、妖怪の里のダンジョン攻略は一旦諦める必要ありそうだ。


再度抜刀。闘気を吸い上げて刀が燃え出す。HPはあと10秒で全損。


大太刀で二刀流は流石にリアル準拠の身長でやると取り回しが悪いな……


「修理は任せました」「は?」


()()を残して駆け出す。


『jugyuraaaaaa!!』


「『真界超越』」


壁生成、加速して懐に潜り込む。背後で黄金がせり出るが無視。


『guraaaaaa!』


「『暴双閃』」


クマボディで横フック、拳を振り切る前に二刀の振り下ろしで根元から叩き切る。しかし刀は振り切られた状態。


『juraaaaa!』


ワンパターンな。残った腕で首を外して本体の斬撃。


「ジェリンド!」


飛行ユニットを起動、更に加速して股下を潜る。ついでに両足も切りつける。ここが臨界点とばかりに刀にヒビが入るが無視。


人形の糸が切れたように熊の両足から力が抜ける。そのまま突っ伏す。


「解除!」


飛行ユニットを解除、右足で無理やり速度を殺す。直後、右足の感覚が抜ける。逝ったか。


『jurararara?』


ムカデは加速した辺りで俺を見失ったのかクマボディが動かなくなって困惑している。


残った左足で百足に向かって全力跳躍。直後、左足が砕ける。熊の蹴りを弾いた分のツケか。


影の大太刀をフォルがつけたケツあたりの傷にぶっ刺す。多分ここ本体に近いんだろ?


「『刺突』」


『gyrura!?』


ムカデが悲鳴を上げる。ぶっ刺した影の大太刀から手を離す。


「『ジェリンド』!」


飛行ユニットを起動。直後に赤いラインがさっきまでいた場所にせり出る。ムカデがこちらを見る。もう遅い。


「『一閃』、『天絶星断』」


切り上げで頭に切り傷を作り、その傷目掛けて振り下ろしで頭を2等分。


鎌を動かす暇も声を上げる暇も与えずに殺し切った。


【王魂狂蟲 カラフルの討伐を確認しました】


『Congratulation!!』


『討伐パーティは、『ルナテック』『ファケリー・ヴァイス』『レーズン』『ガルザーク』『スペル・マスター』『れな』です』


『討伐MVPは『ファケリー・ヴァイス』です』


『MVP特典として 王魂帯電 カラフル を付与します』


頭から地面に突っ込む。


残りHP上限は7、残りHPは顔面スライディングで1。危なかったな。


とりあえず修理の為に左手でインベントリを操作、軍服、手袋、靴、飛行ユニット、動力炉、を外していく。装備無しもアレなんで貰った和服と外套を装備。


「なんで脱いでんの?」


「見れば分かります」


「両足治る?」


「死んだ方が早いですね」


麻痺で床ペロしている連中を尻目にお姉さんと話す。お姉さんは装備の損壊具合を見て絶句した。悪いのはスキルだ。俺は極力丁寧に扱ったぞ。


なんとか仰向けになる。あー床つめてー。


「あ。」


空から降りてきたグリフォンの目が合う。そういや踏み台にしちゃってたな。丁度いい。


「介錯お願いできます?」


『クェェ』


賢い子だ。


「次いつ集合にする?」


「明日から修学旅行なので来週で」


「了解、このゲームフレンドリストとか無いの不便だよねぇ」


たしかになー。


グリフォンは逡巡の末に齧ることを選んだらしい。


「それでは」


「んじゃーねー」


直後、嘴によって頭を貫かれて死亡した。



閃は別にケツでスマホを潰した事はありません。というかやつの体重では近未来のスマホにダメージは与えられません。やったのは閃の家族です。



黄金巨獣 ベアゴルド


物理偏重、魔法は脆弱のユニークボス。格は鮫や鳥には一段劣るが派手な特殊能力や知能を投げ捨てて高い物理スペックを得た、推奨レベルの割に強いモンスター。平たく言うとジェリンドから飛行能力と魔法スペックと知能を削って水晶生成を黄金に置き換えたようなクマ。見た目の割に素早く、黄金生成や素の高い耐久もあって距離の管理をミスしやすくパーティープレイで後衛が沈む事故が多発する。魔法耐性がガバガバで魔法職がヘイトを貰いやすく挑発系スキル無しだと攻略は困難、とはいえ討伐されるのは時間の問題のはずだった。


皇金鄉獣 ベアエルドラド


第二形態としては正当な姿。没案とも。

黄金が呪詛属性を纏い、生成範囲、速度、威力全てが向上、素のスペックも魔法周りのガバガバ具合が改善された陸戦特化ジェリンドといえるモンスター。キル数が一定に達したら怨念を纏うことでこれに進化するはずだったが……



王魂狂蟲 カラフル


名前の語源は稲妻は特定の色を持たないことから。大型モンスターに寄生して戦う雷属性のムカデ。脊髄部分に潜り込んで雷で電気信号を操る他、高出力の雷撃も可能。しかし素のスペックだけではエリアボス格や大型のレアポップモンスターに寄生するのが限度のはずだったが、偶然(・・)手負いのベアゴルドと交戦、ガバガバ魔法耐性に付け込んで雷撃で気絶させ寄生できたことから今回の形態になった。ベアゴルド自身の黄金生成で雷撃の範囲と威力が上がる他、呪詛属性も獲得、ムカデの魔法耐性加算した結果レベルカンストのれなのデバフすら弾く事になった。強さで言えば鶏や鮫より上、ジェリンドやナイトメシアよりは下。ファケリーがスキル運用に慣れてたらパーティーメンバーが床ペロすることはなかったかも?

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