道筋辿り指し示せ
誤字修正機能を初めて使いました。訂正してくれた方、有難うございます。
「結局、なんでファストトラベルがバグったのかはわからん訳か」
ガルザークが呟いた。
「ここはヤマトの火山地帯、多分妨害でずらされた」
バグったわけではない。と、れなが返す。
「相手が誰かわからんことには帰りはトラベルが使えないってことだよなソレ」
「海底にでも叩き込まれたら堪らないからねぇ」
「ヤマトには着いた訳ですし1度解散しますか?」
「あ、待って待って、ここでそんな服着てたら目立つよみんな」
「この装備に認識阻害をつけたのは貴女だったと思うのだけどぉ……?」
「そーいう問題じゃあないよ、雰囲気的な問題!」
「とはいえ一張羅のこれしか持ってきてないぞオレ達」
「こんなこともあろうかと!」
お姉さんが勢いよくアイテムボックスから取り出したのは!
「和服……?」
和服であった。
「レシピを取りに行くのではなかったのですか?」
「これは輸入品のレシピから作ったガワだけで補正のない装備だよ。瞬間装備変更のアクセサリーも人数分作ったからどうぞ」
ガルザークは赤、レーズンは青、ルナテックは桜色、れなは紺色、俺は薄緑、お姉さんは黒。
「眼福眼福……」
これが目的で雰囲気云々は大義名分だったろ。
「じゃあとりあえず10日後にまたここでね!解散!」
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ヤマトの首都『サクラ』にて
さてどうしたものか。
ヤマトまで来たはいいが完全にノープランだ、ルナテックのことも笑えん。
手首につけた幻惑のブレスレット(お姉さんに貰った)を眺め眇めつヤマトの街を歩く。
「そこなお方」
とりあえず道場荒らしでもするか……?
「そこの、水色の髪のお方」
周囲に水色の髪の人間がいないことを確認してから、声のした方向を向く。
「……私ですか?」
女性の声だ。声の源は、立ち並んだ露店の中では異質な、テントからした。入口の傍には『貴方の運命を占います』と書かれた看板が置かれている。
「ええ、貴女ですよ」
「何か御用で?」
「いえ、『セッショウサマ』が貴女を占われたいと」
……何かのイベントだろうか。
「構いませんが」
「お入り下さい」
招かれるままにテントの中に入る。
お香の類でも炊かれているのだろうか。少々煙いが、不愉快な感じはしない。外の喧騒が嘘のように静かだ。
「そこにおかけ下さい」
俺をここに招いた女性は、角の生えた紫色の髪の、所謂鬼人種だった。
ここヤマトの固有種族だったはずだ。
「何か、お悩みのことはありますか?知りたいことは?此方のことでもあちらのことでも構わないとセッショウサマは言っています」
机の上にはこの手の場所にはお約束の水晶玉は置かれていなかった。代わりに置いてあるのは鳥籠、中には青い鬼火が入っている。
これが『セッショウサマ』か。
「……『剣聖』になりにヤマトまで来たのはいいのですが目処が全く無くて」
女性は微笑みながら、
「他には?」
と問うてきた。
そう言われても………悩み、と言われて思い浮かんだのはソフィアちゃんのことだった。
「……恋煩いを少々」
悩んだ末に答える。どうせゲームだしな。
「ありがとうございます。セッショウサマ、お願い致します」
『セッショウサマ』が轟轟と音を立てながら燃え上がる。
しばらく燃え上がってから、また元の大きさに戻った。
「終わりました」
「何か分かりましたか?」
「ええ、セッショウサマも満足されています」
なんで俺を占ってコイツが満足するんだよ。
「まず、『剣聖』ですが、こちらはセッショウサマはノータッチでしたので私から1つアドバイスを」
じゃあなんで聞いた。
「なんでしょう?」
「剣聖の条件は道場破りでは達成できませんよ?」
なぜ道場破りを企んだことまでバレてる………
「まあ、そんなことで取れれば苦労しませんが」
「とりあえず、木刀を振ることから始めてはいかがでしょうか?」
「分かりました」
「それから、恋煩いのことですが……」
そっちは正直どうでもいいんだが……
「近い内に叶うでしょう」
近い内っていつだよ。
「…………ありがとうございました。料金は幾らお支払いすれば」
よく考えたら初期配布の5000zarkしかないやん。身ぐるみ剥がれるのは勘弁して欲しいが。
「要りません」
助かったぜ。
「こちらをどうぞ」
そう言って女性が差し出したのは、真っ白な御面だった。
目や口は彫られているが、全く色が塗られていない。
「これは……?」
「ほんのお気持ちです…セッショウサマが自分から誰かを占おうとすることは初めてでしたので…私も珍しい物を見れました…」
「……有難く戴きます」
「闘技場」
「はい?」
「貴女ほどの方なら、闘技場が一番効率よく稼げるでしょう」
……金欠までお見通しか。
「では失礼します」
そろそろテントを出ようとする時に。
「言い忘れていました」
まだ何かあるのか。
「華と剣の国、ヤマトへようこそ。からくりの戦姫さん」
驚いて振り返ると、占い屋は消えていた。
『白無垢の面』
ファケリー ヴァイス様へ
貴方の旅路に幸多からんことを祈っています。
『まだ何色にも染まっていない』
ステータス補正:まだない
スキル:未定
こんなもん渡されたファケリーの気持ちにもなってみろよ占い師さん。




