夢と冥府の境にて
プレイヤーが死亡すると、リスポーンまで1分ほど待機時間が存在する。ロストギア曰く、戦争時の自殺特攻の防止などが目的らしい。
真っ暗な空間。正面には59…58…57…と普段ならカウントが表示されるはずなのだが。
『00』と。表示されている。
バグった?インベントリ、ステータス画面、装備一覧……開く。メイド服や始源砲などが全部破損状態でインベントリに収まっていたことについては目を逸らす。
何より。
「コレは、貴女の仕業ですか?」
本来は死んだプレイヤー1人しかいないはずの待機空間。そこに、1人の少女が居座っていた。
『ごきげんよう。アリスがお世話になったわ』
少女は微笑むばかり。
『少し、おしゃべりに付き合って頂戴』
首肯。
『『私達』は2人で1人の精霊だったわ』
『影と夢を私達2人で司っていたのだけどね』
『元はと言えばあの色呆け………ンンっ!とあるバカが原因で私が死んでアリスがひとりぼっちになってしまったのよ』
『私が死んでアリスに影と夢、両方の権限が1人にまとめられたわ』
『そしたらアリス、壊れちゃってね』
『普段は自分の領域に閉じこもっているのだけど、異界のかたとこちらの世界の人、両方が来ると反応して出てくるバケモノに成り果てちゃったのよ』
『あとはご存知の通り、あなたに討たれて彼女は死んだわ』
なるほど?
殺しちゃってごめんなさい?
『いえ、むしろ私がお礼を言いたいぐらいよ。』
『こうして私がここにいるのは貴方のお陰よ』
『それに、あの子も正気ならあんなことしたくないでしょうしね』
どうやったら帰れる?
『あらごめんなさい、私がここに引き留めただけだからすぐに帰すわ』
『………………あの子を止めてくれてありがとう』
『またね』
え?
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【『悪夢追憶ナイトメシア/悪夢少女ナイトメアアリス』の討伐されました。】
【貢献度を算出中………】
【MVPプレイヤー『ファケリー ヴァイス』とその所属クランに【■■■■ ナイトメシア】を付与します】
【………error】
【報告……………】
【承諾を確認】
【再試行…………成功】
【MVPプレイヤー『ファケリー ヴァイス』に『夢冥影鍵 ナイトメアリス』を付与します】
『congratulations!!』
『レイドボス『悪夢追憶ナイトメシア』の討伐に成功しました!!』
『討伐参加者『ファケリー ヴァイス』『エクリプス』『スペル・マスター』『双刀掃討総統』に討伐報酬が付与されました!』
【『棘迅群狼の毛皮』『屍肉巨像の魂核』『ハルバード『蒼天斬獲』』『宝晶輝龍の炉心核』が付与されました!】
【MVP特典として『夢冥影鍵 ナイトメアリス』が付与されました!】
無事帰還っと。
「あっしら全員死んだんだし少なくとも無事ではないよねぇ?」
「NPCは無事でしたから我々が死んだだけで済んだのは僥倖でしょう」
あっ、即死踏んで謎に退場したそそそさん。
「エクリプスは?」
「リス地から猛ダッシュしてるのでは?」
何故街に設定したし……
取り敢えず。
「装備が全壊しました」
「マジィ!?」
多分最後の被弾の所為だよなぁ…
「素材はいくらでも渡すので新しい装備の作成をお願いします。あとこれが残骸です」
「まーた派手に壊したねぇ……」
好きで壊した訳じゃないし。
「先に落ちるのでエクリプスにはお礼だけ伝えてください」
「了解しました」
「ぬわああああん疲れたぁぁぁぁぁ」
「貴女は落ちないでください。クランメンバーに謝罪するまで帰しませんからね」
「嫌だァァァァァァァ!?」
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あー疲れた。
取り敢えず。
「寝るかぁ……」
現在深夜2時。学園祭の打ち上げが明日あるのだ。
次は短編と設定集挟んでからほんへに入ります。




