いざ逝け冥土道、悪夢の追憶 其の十七
『魔弾の射手』、もしくは『意のままに命中する魔弾』の伝承がドイツには存在する。有名なのはその伝承を題材にしたオペラだろう。
必中の魔弾七発の代わりに悪魔に魂を売り渡す契約を行った猟師の話なのだが。
最初に契約を行った主人公『マックス』の同僚、『ガスパール』は、悪魔にマックスの魂を売り渡す代わりにさらに七発の魔弾を受け取ったという。
このスキルは、恐らくそこが元になっているのだろう。ベースにした『必滅魔弾』そのものに必中能力が備わっておらず、このスキルも必中能力は無い。代わりにエンドコンテンツたるジェリンドを撃破するだけのダメージは出せる。必ず当たるなんてつまらないし高火力はロマンだ。
ジェリンド撃破で変化したこのスキルで大きく変わったのは一つだけだ。
『魔弾射手』
機砲の通常攻撃を七発だけ強力な射撃攻撃に変化させる。最後の一発はヒット数七倍。
プレイヤー、エネミー関係なく殺害する度に残弾を7発追加する。
残弾を七発消費して解除可能。
残弾が0になると死亡する。
恐らくガスパールがマックスを売ったことが元になっているのだろう、殺した奴の命を対価に魔弾を撃ち続けることができるようになった。まあタイマンや取り巻きの湧かないボスには逆効果だろうが、HPMP上限が削れることが無くなったのでだいぶ使いやすくなったな。
「────逝きます。『魔弾射手』」
直後、始源砲が強制的に単発モードに変更。砲身の周りに6個の光が回る。
視界にも残弾が大きく7と表示されている。
景気づけに3発、接近してきた3匹のプチニードルに打ち込む。
『『『Gaa!?』』』
雲散霧消。残弾は補充されて25発。続けて後ろから接近してきた5匹のプチニードルに打ち込む。
『『『『『………』』』』』
無言で絶命。残り55発。可笑しいな、通常攻撃は砲撃モードだと10発までだぞ???
「『過剰収束』」
組み伏せたお姉さんに喰らいつこうとしていたナイトメシアのドタマにぶち込む。残弾54発。デカブツはぶっ飛び構図はエロ同人一歩手前だったお姉さんは救われた。
「………ねえ、八割削れたんだけど」
「貴女がですか?」
「ナイトメシアがだよ?」
なるほど。自分にかけたバフは乗るらしい。せっかくお姉さんに貰った装備がステータス補正以外はロクに役に立っていない気がするが気にしてはいけない。
「もしかして撃破数で威力上がるタイプかなぁ?」「撃破する度に残弾補充なので攻撃辞めて二人の回復に専念してください」
「アッハイ、2人ともー!回復するからこっちー!」
ボーナスタイムだなぁ!!
豆知識
『撃破数比例強化』
通称『威厳系』。一部のジョブにのみ付与されているパッシブスキルでその名の通り条件を満たしているとステータスにバフが入る。レベリングにおいては非常に有用で野良で持ってる人と組む時は剣士でもサポートに回るレベルで優秀。
通称は有名な獣人NPC『獅子王』の『獅子王の威厳』から。獅子の獣人の種族専用ジョブにも劣化版が搭載されており、上限のない威厳系は貴重。




