いざ逝け冥土道、悪夢の追憶 其の五
結局撮影会の後は拠点でログアウトしてしまった。
・
・
・
・
・
「よしテメーらァ!俺がお前達を立派なメイドにしてみせるからなァ!」
「ノリノリじゃねーか篝火」
「何があったし」
「言っとくけど母さんの実家にはガチのメイドがいたからな?おめーらみたいなパチモンメイドしか知らないのとはちげーんだよ!」
「世間はそーいうガチなの求めてねーの!『お帰りなさいませ、ご主人様!』でいーんだよ!」
「んだとコルァ!」
……学園祭まで、残り2週間。
・
・
・
・
・
冥土霊装 フォロウ
暗殺10
・気配遮断(モンスターに気付かれない)
・強襲(視界外からの攻撃に即死付与)
・暗器補正(暗器使用時に即死付与)
家事10
・料理
・掃除
・裁縫
・洗濯
体術10
・無手補正
・回避
・受け流し
冥府之道
物理攻撃に一定確率で即死付与。戦闘時呪縛系状態異常の誘発。
即死確率の上昇詠唱式『生は夢幻、死は唯一絶対』
『』
『』
『』
この意味深なスロットはなんだ。まだ改造の余地があるとでも言うのか。
というか詠唱……ロボ娘ロールだし恥ずかしくはないが何だこの、痛いのは。『生』の読み方の多さに対して『死』は一つしか読み方がないってことか?
これ、多分ユニーク由来だよな。それをポンポン渡す装備貢ぎお姉さんの気が知れないな。
「やほー」
噂をすれば影が差すだったか。装備貢ぎお姉さん、そそそさんを筆頭に必要な物資を変態どもが持ってきたようだ。
「ここが噂の隠しマップの拠点?」
「ええ、機人種の移動拠点もしばらくここに留まるようですし当分はこの一帯が活動範囲になります」
「あっしは生産職でそこまで強くないからたまに討伐の依頼とか横流ししていい?」
「ええ、お願いします」
「どの口そこまで強くないだ……」「俺ら全員相手にしても数分で片付ける癖に」
「あ、ハイコレ。靴と手袋とホワイトブリム」
「ありがとうございます」
「着けて着けて」
……スカートの丈も長いしヒラヒラしてる割にそこまで刺激的ではないな。手袋も精密動作を阻害しないし割と機能性重視?
「神はここにいたか」「てぇてぇなぁ…」「あんなメイドが欲しいよぉ」
キャラメイク半日の成果だな。
ええと、ステータス…
冥土霊装 フォロウ・ヘッド
付与スキル
識別10
看破10
上昇ステータス:INT50
冥土霊装 フォロウ・ハンド
付与スキル
精密動作10
上昇ステータス:DEX50
冥土霊装 フォロウ・フット
付与スキル
踏破10
上昇ステータスAGI50
だからどうなってんだこれ。
「メイド的には満足いく出来」
「うん?」
「今度戦闘特化の装備も作るから一緒に素材集めよ?」
「これでメイドロール用なのですか………」
「家事とか結構リソース食うからね」
「メイドとは………」
「因みにそのメイド服、スカートの裏とか暗器隠す場所いっぱいあるよ。アイテムボックスだから嵩張らない」
マジでこの人やべーやつだな。
……少しお礼をしなければ。
「着いてきてください」
「うん?御礼なら要らな「着いてきてください」あっ、はい」
・
・
・
・
・
移動拠点の倉庫にて。
「なんだそれは」
「スゴイ=メイドフクです」
「渡された経緯を見て言ったのだ」
ロストギアすら驚愕するレベルなのか、このメイド服。
「とりあえず御礼に希少金属を渡します」
「………マジで?」
装備貢ぎお姉さん、驚愕している。
そらそうだろう。俺の夏休みを投げ捨てて収集した鉱石が山のように積まれているのだから。
「なにこれ、ドワーフ共から巻き上げた鉱石が石ころレベルじゃん」
まあそりゃ命かけてまであんな深い場所に潜るやつなんていないだろうしな。
「…………ぇ」
気付いたか。
「当機の最大の戦果です」
ジェリンドの骸を見て息を呑むお姉さん。
「牙に爪、翼、鱗、角もありますが」
「いやいやこんなの貰えないって!?」
「メイド服の御礼です」
「それの素材は確かに貴重だけどさ!?これ、それの素材の何倍もリソースあるよ!?」
「現在の我々にこれを加工する術はありません」
「いやでも……いや、あっしはね、宝の持ち腐れってのが嫌いなんだ」
「………では!」
「キミが使ってくれるのが条件で、これで装備作ったげる」
「ありがとうございます!」
「(笑顔かわいいなぁ……)最高の装備を提供しよう!」
「では一部を渡すので足りなくなったら言ってください」
「おうとも!」
ブクマと評価をして頂けるとモチベが上がるかもしれません。
北斎正式加入まで止まるんじゃねぇぞ…




