しょごりゅうも赤くて黒いアレも暗黒物質もみんな逝ってしまった
さて問題、前回カードの話題出したの何ヶ月前?
起きた。
いや、目覚めたが正確か。
確か、神経をすり減らしながら拠点まで帰還して、回復してからログアウト、そのままベッドに倒れ込んだんだったか。
「うえええ」
変な声が出た。9月1日、6時30分。わぁ。学校だぁ。ログアウトして寝たのが確か30日の17時頃だったか。
身体をろくに1日以上動かしてなかった訳だ。身体が重いし痛い。寝すぎたな。
リビングに行くと、母が朝食を準備していた。
「おはよー」
「おはよう、よく寝れた?」
イヤミか。
「うん、まあね」
「宿題は終わってるの?」
「旅行前には済ませたって」
「そう、はいご飯」
「いただきまーす」
「結局切らなかったのね、髪。女の子みたいよ」
「そのうち切る」
「お姉ちゃんか明ちゃんにゴムを借りて纏めなさい、あとお風呂も入ってから登校しなさいよ」
「了解」
シャワーも浴びてスッキリした所で登校する。
「いってきまーす」
モーターを内蔵したスケボーを抱えて家を出る。
「「あっ」」
赤い髪に青い眼の小柄な女の子、ソフィアちゃんだった。
「こ、こんにちは、早いんですね」
「あー、まあね、今日はちょっと早起きしすぎたっていうか」
というか制服、うちの高校か。
「その制服、星籠だったんだな」
「あ、はい!」
「慣れないことがあったら聞いてくれよ、あ、エレベーター来た」
エレベーターに乗り込む。
「…………………」
「…………………」
「………………………」
「………………………」
くそ、喋る事がもうない。もっとギャルゲーも嗜んで置くべきだったか………!
星籠市の歴史は浅い。大体50年程前、落ちてきた隕石によって東京都23区及び神奈川や埼玉の一部が吹き飛び、それ以降、20年程ノロノロと再興が続いていた(因みに首都は大阪に移動した)。そして30年前、新型都市のモデルケースとして再開発がスタート、今では世界中の都市の花形として存在している。観光名所である『スタータワー』のちょうど地下に存在する超大型スーパーコンピュータ『メフィストフェレス』及び各地に設置されている中継機やコンピュータによって都市は管理されている。俺のスケボーにも干渉されており、人に当たりそうになると自動で止まる。車もそうで、年間の交通事故は0件だ。
ついでにうちの高校の話もするか。
俺が通っている私立星籠高校は、所謂中高一貫校で大多数の生徒が中学からのスライドである。制服は存在するが基本的に始業式と終業式以外は私服でいいことになっている。それでも服選ぶのが面倒な男子は制服来て登校するが。また、そういう校風なのか私物の持ち込み等が全く制限されていない。そのため昼休みにトレカで遊んでようが先生は何も言わない。むしろ混ざって遊んでたりする。とはいえ、成績悪いと補習は入るし無免許でバイク乗って停学食らった奴もいる。やっていい事と悪いことがあるってことだ。
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「「………………」」
結局学校まで一言も喋らなかった。
「あ、えと、登校したら職員室に来るように言われているので……」
「あー、わかった。またね」
「は、はい!また!」
現在7:20。早く来すぎた。デッキ弄るか。
決闘者思考中………
ラー玉、超融合、うーん、やっぱ先行エクストラリンク相手だと構築歪む。やはり外来種は頭おかしい。閃刀姫のスロットアドが羨ましいな。誘発はうららよりドロバ……でもゴキと競合するしなぁ。肥やしは渓谷……いや霊廟3枚にして渓谷はリンクでサーチ……でもそれってテンプレか。肥やしはせずにドラゴヌート軸に変更しよう。初動はドラコネットマイニングオヴィラプ化石調査で合計9、汎用はゴキ墓穴ドロバ夢幻泡影でいいか。リクルート先はチューナー、あとは竜剣士でエレクトラム立ててアストログラフ…欲張らないでチューナー2種だけにしよう。
「リブート入れんないんですか?」
「うげ蝕天」
「うげってなんですかうげって」
「身内読みって可哀想じゃん?」
「前回霞城にリブート叩きつけたの貴方でしたよね?」
「アーモウ始業式ハジマッチャウナー」
「おい」
「みんな座れー」
「チッ!」
『いちいち集合して立ってるとかアホらしい』という理由で始業式は教室から放送を見て行う。まだ暑いしね。
『では校長先生のおはなs『皆さん2学期も頑張りましょう!終わり!』
終わってしまった。どう見ても赤いランドセルが似合う小学生にしか見えない校長先生の話は一瞬で終わった。
いや、長いのよりは良いんだが短過ぎても不安になるというかね、教頭が適切な長さだったから余計に短く感じる。
「じゃーホームルームだなー、1回黙れー?」
騒ぎ始めそうな連中が黙る。
「今回うちのクラスにー、転校生が来ることになったぞー?」
ざわ……ざわ……
「おーい、ソフィアちゃんー?入っていーよー!」
は?
「ええと、姫園ソフィアです……」
「はァァァ!?」
え?高校生だったのソフィアちゃん!?てっきり中学生だとばかり……
やべ、周りがこっち見てる。
(知り合いか?)
隣の霞城が話しかけてきた。
(………うちの横の部屋に引越してきた)
(あの高層ビルの!?)
(ご両親がウチの親と知り合いなんだとさ)
(紹介しろ)
(やだ)
「あー、篝火の横空いてるから黒板見見にくいだろうがそこに座ってー。2学期はイベント満載だからなー、成績落ちても言い訳にするなよー」
えーと、体育祭は一学期に消化済み、学園祭と泊まりの校外学習だったハズ。
「というわけで文化祭の出し物を決めるぞー?」
ギラリ……と一部のやつの目が光った気がした。