踏破セヨ輝キノ龍、天ヲ衝ク機王ノ産声 終幕
一旦登場人物紹介と設定を挟んだら次の章に入ります。
「なぜ……」
『悲嘆するな。いずれ朽ちる』
魔弾は確かにジェリンドを穿った。だがコイツに傷はない。
『戦う力も無い、貴様の勝ちだ』
「……………。」
パラパラと、水晶の鎧が剥落する。
『最期に一つ疑問がある』
「冥土の土産に答えましょう」
水晶の翼は光を保ったままだ。
『何故、我に一人で挑んだ?』
ぼっちで悪かったなクソトカゲ。
「当機の他に戦える機体は存在しません」
突き立てていた剣が崩れ落ちた。
『守るべき者はいるのか?』
ゲームの中でならいるが。
「ええ。愛らしい妹達が」
『成程』
少し笑って言った。
『我を倒したのだ、守りきれるよな?』
「貴殿に言われるまでもないですね」
龍が眼を閉じた。
『誇れ。其れが勝者の特権だ。我に恥をかかせるなよ』
「…………」
『我が骸は貴様の物だ好きに使え』
言われなくとも。
一匹の龍が果てていた。
……………
……………………………
終わったのか。
「………ハハ」
「ハハハハハハ!ハハハハハハハハ!」
笑う。笑う。笑う。
立って笑えるのは勝者の特権だから。あの龍は確かに強者だったから、あれを貶めないために。
その日、機械の王は地底で産声を上げた。
この後帰るのにめちゃくちゃ苦労した。