踏破セヨ輝キノ龍、天ヲ衝ク機王ノ産声 其の十六
誰が5連打で止まるなんて言いましたか?
体力を削らなくても時間経過で発狂するボスっているよね。
眼前に広がってるのはまさにそれである。
最低でも二属性は纏いながら突撃してくるジェリンド。
パターンで言えば風の刃(心眼がなかったら不可視)を飛ばす緑。強制的に叩き落とされる重力操作の紫、なんかもうダークマターな感じの黒、攻撃が通らなくなる橙などだ。特に赤と橙、黒は逃げに徹しつつMPに気を配ることになる。回復が半分持ってかれたよ。
曲芸じみた状態でも臨壊機動で攻撃が当たるのが唯一の救いだ。デュアルカノン?牽制射撃にもならん。
「エーテル解除、『グラビティシフト』『ショックコンバート』『ハイジャンプ』叡智結晶より引用『Lightning Boost』」
馬鹿みたいな数の水晶の刃を足場に着地と同時に跳躍、ジェリンドが青と金と緑なので一太刀入れてから落下。
「エーテル起動、『チャージ』『蒼砲連波』ァ!」
拡散射撃で一時間以上取れていないスタンを狙う。
『んなァ!?』
呆気なく落下。こちらも想定外で最大火力を出す準備ができていない。
おー、頭から落ちた。
「エーテル解除、『唯天月』!」
狙うは翼、度重なる攻撃により根元より切断、しかし再生されるので退避して消費アイテムの七セット目を開封。HP固定回復、HPリジェネ、MP固定回復、MPリジェネ、ステータス上昇、帯電解除。
『……ここまで抗うモノははじめてだ』
「何がいいたいので?」
『フン、貴様には出し惜しみはせぬという事だ』
いやまだ別の行動パターン残してるのかよ。
「そのまま喉笛を引き裂いてしまいましょうか」
『減らず口も今のうちだけだ』
そう言ってジェリンドは腕を地面に突き立てた。
『はァ!!』
腕を引き抜き、握っていたのは、水晶で出来た杖。
おいおいまさか。
『貴様雑魚の真似ではあるが、これが効率も良いのは確かだ』
そう言って、杖を振るい。
視界が赤く染まる。天井、壁、横穴の一つに至るまで。
避けられない!?
咄嗟に水晶の刃を壁にする。
しかし、赤は、無慈悲に、迫って、来て。




