踏破セヨ輝キノ龍、天ヲ衝ク機王ノ産声 其の十四
積み上げる幸福
むしろ連鎖爆撃
『相殺したか』
突き出した砲身から煙が上がる。
ジェリンドの水晶の翼、その一つが半ばから欠けていた。
HP1/200
MP0/50(実数値100)
STR:100(+400)
AGI:150(+600)
VIT:15(+60)
DEX:90(+360)
『緋砲命灼』
単発型限定
HPを1まで、MPを全て消費する。
消費した数値の合算の数値に比例した砲撃を放つ。
体力を担保に、無理やりブレスを相殺した。ボスクラスの攻撃を相殺したのには種がある。
それは武器の性能だ。
『堕天星邪』には世にも珍しい
合体機能が搭載されている。ハハ、最近鳥頭で見たって?気にすんなネタ被りなんてなろうじゃ日常茶飯事だ。
問題は、そのスペックである。
聖魔轟砲『堕天星邪』
装備条件:INT:50DEX:50
•付与属性『混沌』
双撃型
攻撃力:500
連射速度:秒間10
消費:単発あたりMP5(デュアルカノンにより更にMP5)
狙撃型
攻撃力:1500
連射速度:秒間5
消費:単発あたりMP15
射程距離上昇、必要DEX:80
なんというか、アサルトライフルとスナイパーライフルを使い分ける感じだ。弱いわけないな。
命脈舞踏の効果で最大値である5倍まで上がったステータスで距離を取る。
『少し、侮っていたようだな』
直後、光が欠けた翼に収束、翼が復元される。
自己再生、いや、ボスに回復を積むのはゲームの禁忌のひとつだ。飛行能力を取り戻しただけで欠損によるダメージを多少受けるはず。
インベントリより七色の液体の入った注射器を取り出し、緑、青、赤、白を腕に立て続けに注入する。
直後、HPMPが半分まで回復、更にジリジリと自動回復を始めた。
貴重な資源を融かして作った消費型の回復アイテムだ。1セットに一日費やしている。それを1ダース持ってきた。残りは、ステータス強化、状態異常回復、欠損の時間経過回復だ。
『……あまり、このような戦いは好みでは無いのだがな』
ジェリンドが呟く。直ぐにそんな余裕消し飛ばしてやる。
とはいえ不相応に挑んだボス。やるなら急所に最大火力を当てるしかない。
堕天星邪の合体を解除し、両手を自由にする。
『……虹彩創りし水晶翼』
直後、ジェリンドの翼が金色に輝き、
雷光が迸る。




