踏破セヨ輝キノ龍、天ヲ衝ク機王ノ産声 其の十三
地 獄 の 暴 走 召 喚
『フン、小物共を殺し、調子に乗った紛い物すらも糧としたか。その格、何体殺した?』
デュアルカノン展開。
「覚える程の数ではありません。妹達と違い当機は鏖殺することしか出来ませんので。」
仮面を外すな、恐怖は押し殺せ。
『我では飽きて半ばで辞めるだろうな』
当機は戦闘機械だ、それ以上でも以下でもない。
『貴様は奴らと同じく直ぐには砕けまいな?』
呑まれるな。
「貴殿も積み上げる骸の一つに過ぎません」
『エーテル』に意識を集中。
『なるほどなぁ』
来る。
『ならば、見せて見るがいい………』
「機人種零号機、ファケリー ヴァイス。参ります」
『晶輝宝龍ジェリンド、この名を刻んで逝くがいい!』
直後、視界が赤く染まる。
咄嗟にエーテルで上に退避。発動したのは今まで産廃だった心眼である。
『心眼』
自信に当たる攻撃の軌道と範囲を可視化する。
複数で襲ってくる蜥蜴相手では下手に動くと当たらない攻撃も被弾してしまう。何が産廃かってチャージタイムや攻撃モーションに入った時点で当たらない攻撃は可視化されない。偏差射撃は見えない攻撃側が視界に入ってないとやはり意味が無い。不意打ちばかりのクソ蜥蜴相手では意味が無い。
『予見、いや、練度に裏付けされた予測か』
バレている。
『ならばこの手で潰してやろう』
巨体からは考えられない速度で飛行、そのまま右腕で殴打、
「エーテル解除、『機走破』『グラビティシフト』『命脈踏破』『ブースト』ッ!」
AGI上昇、重力緩和及び方向変更、モーション感度及び物理ステータスのHP残り数値反比例上昇、急加速の四つで無理やり回避、ジェリンドの背中を拝む。
「『暴双閃』!」
サブに回した機動閃兵のスキルを使用、二つのデスサイズで同時攻撃。MPがドレインにより全快、ブーストのリキャスト五秒。しかしエフェクト的には浅いッ!
『惰弱だなァ!!』
尾の振り回し、やはり当たるのは危険。
「エーテル再起動、『チャージ』ッ!」
エーテルで飛行、『チャージ』で次の攻撃準備。『堕天星邪』は初期装備と同じく二つセット、使用感は変わらない。
狙うのは頭!
「『蒼砲連波』!」
『スプレッド』が変化したスキルでスタンを狙う。
『小癪なァ!』
チャージ込ならイラつく程度にはダメージが入るらしい。スタン?さあ?
自己バフの残ったうちに上に距離を取る。
忌々しそうに頭を振ったジェリンド、こちらを睨む。
残りMP的にこれ以上上への退避は難しそうだ。
『ゴァァァアアア!!』
視界がまた赤く染まる。出処は背後の壁っ!?
咄嗟にエーテルを解除し、危険域から離れる。レッドゾーンから抜け出た瞬間、赤い範囲から虹色の水晶がドゴッ!!とせり出す。ストーンエッジ、むしろ断崖の剣か。命中不安定に変わりはない、むしろ足場が増えるだけだ。
デュアルカノンの固定ダメージを頭部に放つ。しかし回避。
ジェリンド、水晶の翼を輝かせる、あれはブレスだ、真上に当たると恐らく光源の水晶が降ってくる。現在の心眼の軌道予測から少しでもずらす!
ブーストリキャスト完了、グラビティシフト残り一秒。再使用まで一分。
「『ブースト』ッ!」
翼から翡翠のエフェクトが溢れ、MPが残り30まで削られる。
しかし赤い致死圏から回避。
エーテルを解除、そのまま落下スピードを乗せてッ!
「『唯天月』ッ!」
翼にヒット、MP全快。しかしグラビティシフト終了。
「『チャージ』ッ!」
地を走り砲撃準備。
『無駄だァ!!』
ジェリンドが吼え、赤い致死権が背後と正面から飛び出る。また水晶の刃。機走破のバフのおかげで簡単に走って回避可能。
これなら被弾ッしない!?
ジェリンドの翼に光が灯る。つまりブレス、赤い致死権に再突入する。不味い、避けられない!?
『終わりだ!!』
水晶の刃がせり出し、動きを制限する。エーテル間に合わない。
奴の口から光が溢れる。
ならば……………