別に、非推奨で始めても構わんのだろう?
今日から夏休み、昨日届いた機材を開封。
えっと頭に付けて、無理のない体制で電源を入れる。長時間やる場合は栄養、水分補給やトイレを済ませておく。一応ゲーム内でも『尿意』『栄養失調』と言った具合に表示される。三時間遊んだら休憩を挟む。関係あるのはこの辺りか?酒入れてログインするな、脳波でアカウント登録なのでサブ垢は作れない、ケータイに接続すればあちらでも電話やメールができる。未成年、BAN怖いからやらない、友達あんまりいない。だからあんま関係ないな。
β開始は十五分後、ブロック携帯食を摂ってミネラルウォーターを机に置いて置く。トイレも済ませておく。
ヘッドギアを付けてスイッチ押し込めばダイブできる。
いざVR!
『サービス開始まであと一分です。』
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『DIVE START!』
『ようこそ!幻想と戦争の世界へ!』
『時は女神暦300年』
『創世神によって創られた神たちは己が種こそが至高と血で血を洗う戦争を繰り返していた』
『神たちは考えた』
『このままでは決着がつかない』
『異界の者を呼び出し(以下略』
長いのでカット。
要は異世界(俺たちのいる現実世界)からプレイヤーを呼び出して戦争を有利に進めようとしたらしい。
VRだから中々迫力あったよ。剣一本でドラゴンを叩き落すシーンとかすごくかっこよかった(小並感)。
『貴方のキャラクタークリエイトを担当するNavi 009です。よろしくお願いします』
オープニングが終わって周囲が真っ黒になったと思ったらなんかパツキン幼女が出てきた。
『このゲームは、選んだ種族によってステータスの伸び方や所属、スタート地点が変更されます。ご注意ください』
『それではアバター作成に入ります。βテストが終了するまでアバターは変更出来ないので良く考えて作成して下さい』
OK。映像が浮かび上がってきた。
なになに、『外見』『種族』『職業』『初期装備』『初期リスポーン地点』この五つが設定できるのか。
じゃあ外見から。
って、異性アバターも作れるのか。
『ハラスメントは、触られた側のアバター性別と、触った側の実際の性別を基本的に参照します。ただし、基本的に嫌がる行為は全て警告されます』
なるほど。
種族によって多少弄りたいし後回しで。取り敢えず性別だけ決めよう。コイントスで。
『コチラがこの世界の貨幣、サークになります』
表に女性、裏に10と刻まれた金貨を渡される。『1サーク十円相当になります』おお、ありがと。この女性って創世神?ふーん。
じゃあ数字なら男、創世神なら女でアバター作ろう。
親指でコインを弾く。チャリン!裏だった。もう後戻りは出来ないな。女性で決定だけ押して次。
『一部職業は、特定種族でないと初めから就けないのでご注意ください。』
ヒューマン獣人魚人鳥人蟲人エルフドワーフサラマンダーシルフノームウンディーネアルフインプオーガジャイアントマーメイドなんでもごされだな。獣人なんかはスクロールに時間かかったしある程度何したいか決めないとどうしようもないなこれは。ランダムはないの?
『ありますが特にレア種族はありません。制作陣がイレギュラーを嫌いまして。因みにこの質問をしたのは貴方で100人目です』
いや、そういうんじゃなくて正直選ぶのに時間かけたくないっていうか。
『ランダムの際は、就きたい職業に就けない可能性もあるのである程度絞り込みが出来ますがどう致しますか?』
じゃあ、遠距離や中距離主体である程度接近されても戦える職業で。物理魔法は問わないから。狩人とか忍者的な奴な。
『了解しました……抽選の結果を転写します。よろしいでしょうか?』
映像には『聖銀機人』『機動砲兵』だった。こんなの種族リストになかったよな?見落としてた?
『種族ページを右にフリックしてください』
あれ、これ2ページ目があったのか。
そこにはデカデカと『非推奨』の文字が。どういうこと?
『制作陣が作ったはいいが快適なプレイは望めない、だが使わないのは勿体ないと■■■■残しておいた種族です』
ん?
『失礼しました、禁則事項に触れたため言語化不可能な音声に変更されました』
なるほど、まあ進めてればその内分かるかな?
2ページ目にいたのは
『機人種』『吸血種』『妖精種』『竜人種』『粘菌種』の五つだった。
確かにファンタジーにはよく居る種族だが1ページ目にいなかったな。
まあ、ランダムで出たのは確かなのだし気にするだけ無駄かな。
『よろしいのですか?』
おっけー、アバター作成に戻ってくれ。
目の前に白いマネキンが出現。なるほど、機人種は多少肌から機械が覗くのが確定してるのな。
ってこれ、目のパーツだけでも1000種類はあるんじゃないか?え、約3000?すげぇなコレ。
フフフ、これは気合い入れて美少女アバターを作るしかなさそうだな。
〜12時間後〜
長く苦しい戦いだった。だがやり遂げた。目の前の美少女を見ると笑みが零れる。
肩まで伸ばした蒼色の髪、橙色の眼は機械らしく無機質だがどこか宝石のような印象だ。身長はリアルと同じく小柄。男としては小柄なのはあまり嬉しくないがこの美少女アバターを違和感なく動かせるなら何も言うまい。むしろこの為に生まれてきたとまで断言できる。
途中何度かログアウトして食事を摂ったりしたので掛けたのは実質10時間ぐらいか?
じゃあ初期装備選ぼ。
『zzzz……っは!?こちらから初期装備を選んで下さい』
寝てたしこの担当。芸が深いな。
『機人種の女性服』『type0キャノン』の二つを選択。
プレイヤーネームは『ファケリー ヴァイス』
初期リスポーン地点は、あれ、多種族国家以外にない、種族固有のが見当たらない。
『機人種は、移動式のプラントが種族固有のリスポーン地点です』
なるほど。じゃあそれで。
『了解しました『ファケリー ヴァイス』様。それではVRMMO『Phantasm WARS Online』βテスト、お楽しみ下さい。』
ここから、俺の冒険が始まる。