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██の斬獲者 妖怪との邂逅 その二

メリークリスマス!

 

「御機嫌ようファケリー」


「お久しぶりです」


「あっファケリーちゃん、修学旅行はどうだった?」


「そこそこですかね」


 一週間ぶりにお姉さんたちと再会していた。


「おーいファケリー!揃ったかー?げっ、スペル・マスター!?」


「ありゃりゃ、あっし嫌われちゃったなぁ……」


「わた、俺はファケリー程お前たちを信用してないからな」


「アルカエスト、残念ながらまだです」


「ガルザークは相変わらず遅刻のようですわね」


 ルナテックがそう言いながら現れた。お前もアウト寄りだぞ。


「レーズンちゃんだけでも連絡に寄越せばいいのにねぇ……」


「仕方ないからスキルでメッセージを残しておくことにする。何か伝言は?」


「遅刻する方が悪い」


「辛辣ゥ……それにしても便利だねぇ、『黒幕』のスキル。消耗品とはいえアイテムも作れるんでしょ?」


「アイテムというよりはスキルのストック。残弾の貯蓄が増える程度。────『ライビングメッセージ』」


 ライビング……?ああダイニングメッセージの反対か。


「じゃあ跳ぶから全員捕まってろよ」


 アルカエストの尻尾を握った。


「ぴゃっ!?」


「あれ、神経通ってるんですか?」


「リアルに無いから余計こそばゆいの!触るなら背中にして!」


「これは失敬」


 背中に触り直す。


 視界がぐるりと回って気づけば妖怪の里に着いていた。


「『流離う旅人(ヘルメス)』……登録完了」


 れなは抜け目ないなぁ。


 眼前には見覚えのある全身包帯ぐるぐる巻き。


「お久しぶりです」


『やあやあ、そろそろ来る頃だと思ってたよ』


「誰?というか何?」


 誰何の声をあげるお姉さん。いや初見ならそうなるわな。


「ヤマちゃんです、ここをシメてる多分重要NPC」


『重要じゃなくて最重要だぜ、ファケリーちゃん。諸君らは親愛を込めてヤマちゃんと呼んでくれたまえ〜。お茶出すからファケリーちゃんとアルカエストちゃん以外は着いてきてね』


「皆さん、後で合流しましょう。……ではアルカエスト、里のNPCとの面会の続きしますよ」


 前回はオリヒメさんの着せ替え人形にされて途中で中断されてしまったのだったか。


「了解、じゃあついてきて」





「4代目さーん!いらっしゃいますかー!」


「聞こえてるよ」


 家から出てきたのは文字の書き込まれた包帯を巻いた紫色の髪の鬼人の女性だった。


「御機嫌よう、これは前に言ってた殺戮兵器のファケリーです」


「言い方……」


「オボロ様から聞いたけどユニークボスまた狩ったんでしょ?」


 熊との戦闘でもオボロスサノに見られていたか。


「だとしてもどうなんですその呼び名」


「最大限好意的に伝える方法なんですよこれが」


 舐めてるんか?


「ふむ……4代目だ、名前は既に喪ったからこれしか呼び名はないよ。一応呪術師兼エンチャンターで、副業として占い師もやってるから失せ物ぐらいなら探してあげるよ。武器に能力を付与したい場合は力になろう、アルカエストの紹介だしな」


「まさか元天帝だったり?」


「そんなまさか。元巫女長だよ、ヤマトの歴代巫女長はみんな、名前を国に捧げてるんだ。双神殿関係者は分かりづらいから天帝は第一天、第二天と呼称する」


 道理で、言われてみると神殿で会った巫女長に雰囲気が似ている。


「なるほど、ならばヤマちゃんは第一天ですか」


「うん、そうなるね。まあ、この里には天帝はあの御方しかいないよ」


「では他の人たちとも顔合わせがあるので失礼しますね」


「待ってアルカエスト、加工して欲しい素材はいっぱいあるから後で送っとくね」


「ぐぬぬ……」






「次です、師匠!いますかー!!」


 ドンドンと店と思わしき場所の戸を叩く。いや荒っぽいな!?


「うるせぇなバカ弟子!気持ちよく寝てたってのに!」


 顔を出したのは普通の人間種の男性。妙に肌が白いが吸血種ほどでは無い。そしてこの里の人物では初めて、文字の書き込まれた包帯に身を包んでいない。


「おはようございますロクでなし師匠」


「うん?誰だァテメェ?」


 男性は俺を見ると疑問の声を上げた。カンストしか入れない限界集落なら顔見知りでは無い人間がいれば疑問に思うか。


「前言ってたカラクリですよ、龍皇殺しの」


「ああテメェが……俺ァカザンだ。一応ここでは薬師だな、店の中身は金さえ置いてけば勝手に取ってっていいぞ……テメェに効くかは知らんがな」


 カザンはそう言うとピシャン!と戸を閉めてしまった。


「仙人で俺の練丹術の師匠でもある。消費アイテムはここで補充できるよ、はい次」


「雑では?」


「いいんだよ、あんまり騒いで邪仙の機嫌を損ねるよりはな」






「次で最後です、もしもーし!」


 ヘレナ魔法具店、と看板の掲げた店でアルカエストは普通に扉を開けて入っていった。


 というか看板を掲げてるのはここだけだな。カザンの店は閉まってるから除外。


「いらっしゃーい 」


 カウンターで店番をしていたのは金髪のエルフの女性だった。やはり全身包帯まみれ。カザンが例外なのだろうか。いやエルフ?流浪の身だったり何らかの原因で自身の種族の所属国家を離れる人がいるのは知っていたが、エルフは割と地理で考えるとヤマトからは遠いんじゃなかったか……?


「御機嫌よう。こいつはファケリー、一応私の知り合いの中では一番強い異邦人です」


「私はソーサラーのヘレナ、ここではマジックアイテムを扱ってるよー」


「アーティファクトやテッサイさんが扱えない魔法武器はここで整備できるぜ、転移のスクロールとかも買える……言い忘れてたけどこの人と師匠以外は里での支払いは大体物々交換とかだから気をつけてね」


「財布は常に軽いので問題無いですよ」


「ええと、マジックアイテム使えるのキミ?」


 訝しむ目で見つめてくるヘレナ女史。マジックアイテムの起動自体は問題ないのは洞窟出てからの移動中に確認済み。バフ系は通らない事も多かったが。


「ええ、一応」


「ならお客さんだ、品物見ていく?」


「アルカエスト」


「施設の紹介はこれで終わりだ、里の住人自体は結構いるけど戦闘特化……というか物理特化で生産能力の欠片も無い人が多いぞ、まあすれ違ったら挨拶するぐらいでいいんじゃない?」


 思ったけど……便利だなアルカエスト。ここのNPCとの好感度大体高そうじゃん。


「便利って言わないでくださいよ……そこは顔が広いとか」


 アルカエストってクラン入ってたっけ?


「はい?登録ならできる環境にありませんけど」


 じゃあ登録できるようになったら一緒にクラン作らない?


「いいけど……なんで?」


 いや、季節イベントとかはクランの方が有利だと聞くし、知り合いいないクランよりは身内団の方が気楽じゃん?作ろうかなーって思ってるだよね。


「なるほど……頭数貸すぐらいならいいぜ」


 よし言質取った。


「ではこれからよろしくお願いします……()()()


「えっ?エクリプス辺りがやるんじゃないの!?」


 よーし希少職のカンスト勢ゲットー♪


「ねぇもしかして私嵌められた!?」


 オリヒメさんの生贄に捧げた恨み忘れてねぇからな……!

更新速度がカスだった理由ですが、お分かりの方もいるかもしれませんが新作に執筆リソースを割いてたからです。

興味がある方は是非読んでみてください!


https://ncode.syosetu.com/n6002hi/

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