フルドライブ!!!!!
前回、つぎは伸一の友達が出るといったな
あれは嘘だ!
ごめんなさい
切りいいところにしたら出ませんでした
次は高校の場面から始まるんで確実に出ます
「伸くん。そんなにわたしにいじめて欲しいの?」
渚姉が俺に汚物を見るような視線を向けている。
あの仏のように慈悲深く、女神のように美しい彼女がここまで俺を蔑むなんて、俺はいったいなにをやらかしてしまったんだっけ?
一生懸命思い出そうとするが、いっこうに手がかりすらつかめない。
まあ、いいか。このシチュエーション最高に興奮するし、今はこの瞬間を目いっぱい楽しもう。
「こんなので、なに鼻息荒くしてるの? 伸くんは本当にどうしようもない変態さんだね」
「う、うん。俺、変態なんだ! 変態でいいから! だから」
「しょうがない弟だな、伸くんは。いいよ……」
渚姉の肉厚なくちびるの上を、舌がエロい生き物のように動き湿らせていく。
官能的なその光景が、ますます俺の脳髄を痺れさせていく。
「いじめて欲しいところを正直に言えたら、ご褒美に踏んで、あ、げ、る」
「こ、こここ、ここを踏んでくださいぶひいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
「伸くん!? 寝ぼけてないで早く起きて! 遅刻しちゃう!!」
「んあっ!?」
気づくと、渚姉が慌てた様子で俺の肩を揺すっていた。
あれ、俺夢見てたのか? なんか幸せな体験をしてた気がしたけど、内容を思い出せない。
「伸くん、早くちゃんとして! ちゃんと時間見て、今の状況理解して!!」
「んん……ん? んん? ………………うっぞっ!? げほっげほ!!」
渚姉が眼前に突き付けた時計が指す時間は、いつも家を出る時間までたったの十五分。驚きすぎてせきと鼻水がちょっと出た。
「ご、ごめんね、伸くん! わたしのせいで、わたしがちゃんと起こさなかったから……」
「い、いや。渚姉のせいじゃないよ。俺が朝弱いから……。きっと今日は深く眠り込んじゃってたんだろ? きっとすげえ疲れてたから」
「あ!? えーと、その……」
どうも渚姉の歯切れが悪い。というか、いつもよりもかなり顔が赤くないか?
渚姉が時間忘れたりするわけないし絶対俺のほうに原因があると思ったんだけど、この感じだともしかして体調が悪くてぼおっとして忘れちゃったのかな?
まあどっちにしても頼り切りで目覚ましすらかけてない俺が全部悪いんだから、渚姉にそんな申し訳なさそうな顔をしてほしくない。そんなことよりも、渚姉の体が心配だ。
「とにかくさ、自分で起きれない俺のせいだから、渚姉は謝る必要なんてないよ」
「う、うん。ありがとう、伸くん」
「それよりも、渚姉すごい顔が赤いよ? もしかして、風邪でもひいてるんじゃ……」
「えっ!? ち、違うよ!! き、きっと、いつもよりもたくさん伸くんのこと揺すったからじゃないかな」
「でも、声も今ちょっと変に高くなったし……」
「お兄ちゃん、察してあげなよ」
「ゆ、柚ぅ!?」
「どうして、伸くんのベッドに!?」
不意をつく可愛い声とともに、柚がぴょこんと布団から顔を出す。
俺も渚姉も、予想外の出来事にまさに唖然。
「どうしてって、お兄ちゃんと一緒に寝たくなったからだよ。それより、お兄ちゃん? お兄ちゃんももう高校生なんだから、もっとデリカシーのある男にならないと。女の子の体ってものすごいデリケートなんだよ。風邪ひかなくたって熱出るときもあるの。わかるでしょ?」
「ち、ちが……」
俺のベッドに入り込んだことは、二人になったときにゆっくりじっくり話し合うとして。
渚姉の発熱の件ついては、ここまで言われればさすがに童貞でそういう部分にうとい俺でもわかる。
いわゆる『女の子の日』ってやつだろう。そういえば、美咲も風邪でもないのに体調を悪そうにしてる時がある。俺は渚姉を困らせてしまっていたんだろう。でも柚がいなかったら、俺の性格上両親まで呼んで大騒ぎにしていた気がする。そうなると変態親父にも女の子の日がばれることに。マジであぶねえ。グッジョブ柚!
「ごめん、渚姉。俺、こういうの全然気づけなくて……」
「ち、違うの伸くん! これは――」
「え、違うのお姉ちゃん? じゃあ、なんで顔染めてるの?」
「だ、だから、これは、その……。はい、柚の言う通りです」
必死に否定しようとしたが、最後は力なく頷く。
そりゃそうだ。俺のせいで言いづらくなったというか、いちおう男である俺のいる前で認めるのは恥ずかしいことだろう。俺がもっとできる男だったなら顔の赤さなんて指摘せずに、渚姉が羞恥にさらされることもなかったのに。
本当にごめんな、渚姉。でもそのお姿、しかと両目に焼き付けました。
「そんなことより、お兄ちゃん。なんかここに固いものあるけど、これなーに?」
「どぅわああああああ!?」
「きゃああああああああああああああああああああ!? …………す、すごい」
渚姉の涙により俺のノンデリカシーが引き起こした騒動がおさまったと思ったのもつかの間、柚のとんでもない横暴によって俺の下半身が早朝にさらされる。
もちろん下半身といっても、しっかりと下着と寝間着に守られてはいる。だが、今日のマイサンはとにかく信じられないくらいにギンギンなのだ。俺も男だから、毎朝ある程度の生理現象は怒っている……いや、起こっている。でも、今日のそれは桁違いだった。
きっと素敵な夢を見ていた気がするからそのせいだろう。あと、さっきの渚姉の姿でもさらに肥大したことを感じていた。
そう、俺が遅刻の危機にさらされていてもいっこうにベッドから出なかったのは、この下半身をどう考えてもごまかしきれない、隠しきれないと思ったからだ。
そんな状態の寝間着を突き破りそうな息子が、美少女姉妹の前に威風堂々とさらされている。
「ねえ、お兄ちゃん、お姉ちゃん。これ、なに? なんか、すっごく固いけど」
「つつくな!!」
柚は何も知らなーいといった風に質問しながら、あろうことかつんつんしてくる。
こいつ、絶対わかってんだろうが!! なに純情無垢な女の子のふりしてんだよくっそ!! よりによって、渚姉の前でやらかしやがって!! 見られたんだぞ!? 俺の下半身のフルドライブを俺の女神さまに目撃されちまったんだぞ!? 血がつながった家族でも気まずそうなのに、相手は同居し始めてたった二週間の義姉だぞ!? しかも渚姉がいるから、裏柚対応じゃなくて表柚対応しなくちゃいけねえじゃねえかこんちくしょうがああああああああああああああああああああ!!
「ゆ、柚ぅ。これはなぁ、ちょっとモデルガンを仕込んでたんだよ。男の子ってのは、時たまこういう悪戯をしたくなるのさ。ね、ねえ、渚姉?」
「……さっきの人よりも、全然おっきい」
「な、渚姉!? 顔を手で隠してるようで、そんなに指の間開いちゃったらばっちり見えちゃうよね!?」
てか、さっきの人って誰!? なんのこと!? 今この人、生唾飲み込んでなかった!?
もしかして女の子の日って、ちょっとエッチな気分にさせちゃうんだろうか!?
「お兄ちゃん。頭抱えてる余裕なんてないんじゃない? ほんとに遅刻しちゃうよ?」
「えっ……? って、やべええええええええええええええ」
ベッドから飛び降り、ダイニングへダッシュ!
「……ねえ、柚。もしかして、ずっと起きてた?」
「え? 目が覚めたの、顔出した直前くらいだけど。お姉ちゃん、もしかしてなにかあったの? わたしがいた膨らみに気づかないくらい、冷静さ失ってたみたいだし」
「な、なんでもないの! う、うん。寝てたならそれでいいのよ」
本気で急いでいたので、背中から聞こえるそんな会話を気に留める余裕もなかった。
ちなみに下半身フルドライブ中なのをすっかり忘れていた俺は、ばっちり両親にも見られて気まずすぎる朝食を過ごしたのだった。
渚もあの親父の血を引いている
エロいことに興味あるけど必死でそれを隠そうとする淑女大好物です