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媛西電車 Ⅱ  作者: Hankyu3058
5/13

④日野町駅「先行怖い部活」

④日野町駅  神崎茅野

知らない番号にでないのはお約束だ.

拒否,ポチッ.

歩瑠とのメールを再開する

『またお姉ちゃんに捕まったの?』

『なんか電話がかかってきた』

『だれ? 桜川?』

『知らない番号だし,拒否ったからわかんない.』

『桜川だったら飛んで喜んでたでしょ?』

『なにをバカな.』

と,今度は家の電話が鳴り響き

姉ちゃんが部屋に入ってきた

「桜川君から電話.」

「嘘でしょ?」

「うそじゃない. 電話料金もったいないから早く出て」

電話料金はかけた側が払うからこっちが何分待たせたって

ふところ痛まないじゃない.ポイントは相手を待たせないようにってとこじゃない.

『もしもし.どしたん?』

『ねぇ かばん忘れてない?』

『かばん?』

部屋を見回すと… あ,あった.

絶対うちには無いと思われるかばん.

『黒い奴?』

『あ,多分それ. いまから取りに行ってもいい?』

『いいけど 遅くない? 明日学校で渡そうか?』

『マジで? お願いしていい?』

『いいよ.』

『ありがとう. じゃあ明日.』

…電話を切ってから考えた.

さっきの知らない番号,桜川からだったのかな?

携帯をみると歩瑠がおやすみメールを送ってきた.

もうそんな時間か.母さんや父さんが帰ってくる前に早くお風呂に入ってとっとと寝よう.

…歩瑠の言葉が頭の中でぐるぐる回る.

―いいと思うよー―

そっかな.桜川と茅野,いいかな? いいんだ~.

明日,鞄もっていかないと.

二つの鞄を並べて,ハッピーな気分で布団に入った.


翌日,朝から部活.鞄二つ持って,いつもより早く学校へ行った.

「おはよう. 茅野,今日は早いね.で,結局昨日の電話誰だったの?」

「さあ,わかんない.」

「じゃあ茅野の代わりに私が桜川に聞いてあげるよ」

「なんでそうなるのよ.やめてよ~」

「おはよう.」いきなり後ろから声をかけられた

桜川だ. 歩瑠が姉ちゃんほどではないけどニヤ~と変な笑みを浮かべている.

桜川が昨日のことを話しませんように…

「神崎,持ってきてくれた?」

万事休す.いまここでそれ聞く?

「あ,うん. はい.」

「え!? なになにそれ. プレゼント?」

「違うよ. 俺の忘れ物を持ってきてくれただけ」

「へぇ~ ってなんで忘れ物? いつ? どこで? なにを忘れたの?」

「お前は警官か?昨日神崎の家に鞄忘れたの.」

「ひゃぁーっ!! 家?なになに?うそぉーっ!!マジでぇぇぇぇ!」

歩瑠が唾飛ばしながら叫ぶ.

「ちょっと! 茅野! 何がタイミングそろったから,だよ! あれは茅野の家に二人で向かってたってことじゃん! ひゃぁぁぁ!!」

ああ,お先真っ暗だ.泣きたい…

「おはようございます.先輩たち,どうされたんですか?」

陽乃ちゃんと真紀ちゃんが入ってきた.

「何でもないよ. 練習始めよう!」

桜川が何事もなかったかのようにマウスピースを差して音だしを始めた.

先輩達もやってきた.ちょっとホッとする.この話はひとまずおしまい.

歩瑠はもっと聞きたいのに,という顔でしぶしぶ音だしに参加する.

今日は朝からパート内練習,その後合奏練習

うちの学校のトランペット(Tp)パートは7人.

桜川,歩瑠,真耶先輩,朱鷺先輩,陽乃ちゃん,真紀ちゃん,茅野. 2年生だけ3人だ.

昨日,お遊びとはいえ結構吹いたので口が痛い.桜川大丈夫かな?

「なに,桜川を見てるん?」

歩瑠にいきなり声をかけられて慌てて目線を楽譜に戻す.

「え? なになに茅野ちゃんどうしたの?」

先輩たちは地獄耳だ.こういう時だけは”私語バツ”って言わずに話しに乗ってくる

「いや,茅野が桜川のことずーっとみてたんで」

「マジで!? 茅野ちゃんやるねぇ.」

「ちがいますよ~」

「顔赤いよ~」

もーっ. やめてください! 

「はい,桜川深咲くん,見られてることに対して意見を述べよ」

「…え?なんで俺なんですか? しかもなぜにフルネーム…」

固まる桜川.目を輝かせて続きを待つ後輩たち.

こんなのいやだ~っ!!

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