③阪急西北駅「ごまかしメッセージ」
③阪急西北駅 神崎茅野
まさかほんとうに桜川がうちに来てくれると思わなかった
絶対断るだろうと思ってたのに…
短時間だったけど楽しかったし嬉しかった.
いつものように誰もいない家の中.
暇だから歩瑠にメッセージを送る
『いま何してる?』
数分して返事が帰って来た
『暇をもてあましている』
『ぼーっとしてる感じ?』
『うん でもいきなりどしたん?』
『暇だったから話し相手いないかな~とおもって』
『あ,なるほど. ぼっちを探してたのね』
『歩瑠がぼっちかどうかはしらないけど』
『どう考えたってぼっちでしょ. 彼氏もいなけりゃ夜に直接話す友達もいない』
『夜に直接話す友達なんてほとんどの人がいないでしょ』
『まぁね そういう茅野は? 彼氏いたりするんじゃないの?』
『いないけどね』
『ほんとうかな? 茅野のことだからいそうだけどな~』
『何それ. 茅野のことだからって』
『私と違っていそうな雰囲気を…』
『彼氏はいない』
『っていうかそういえば今日の夕方桜川と帰ってたじゃん.』
しまった!思い出された. そこは突っ込まないでほしかった.
『学校帰りタイミングそろったから』
『いいと思うよ~』
『やめて,そういうの』
『ほんとうはどうなん? そういうのないの? ねぇ?』
『たぶんない』
『たぶん!?』
あ,変なワードを癖で入れてしまった…
たぶんじゃなくて実際なのに.
『違う. 癖で多分って打っちゃった』
『ごまかしはよくないよ~ ほんとうは?』
『違う』
その後しばらく歩瑠からの返事はなかった
5分ほど立って既読の文字がつく.
…返事が返ってこない.
既読スルー? あそこまで追求しておいて?
それはありえない.
既読スルーはないよ~
あ,もしかしてやっぱり茅野より大事な人が家に来たか.
やっぱりぼっちとか言っておきながら彼氏さんいるんだね~
さすが歩瑠.
それなら既読スルーしても許す.
許すどころか祝ってやる.
…ドアが開いた.
「茅野帰ってんの? 扉ぐらい開けてよね」
「ピンポンも押さないのに帰って来たことなんてわかんない!」
姉ちゃんはいつも上から目線に感じる.
扉ぐらい開けてよねって何様!?
「ねぇ,お風呂のお湯もはってないの? 気が利かないな~」
「入りたいなら自分でお湯はってよ」
あ~マジでむかつく
風呂のお湯は入りたい人がスイッチを押すんでしょ?
っていうか携帯からお風呂のお湯はれるんだから
帰りの電車の中で携帯いじくることぐらいしなよ~
茅野と違って”おうち接続端末”持ってるんだから!
携帯の着信音が鳴った.
『ごめん. 姉ちゃんに捕まって既読スルーしてしまった』
歩瑠からだった. 彼氏に捕まったんじゃないのか…
でも姉ちゃんに捕まるのはこっちもだからまぁいっか.
っていうかどこの家も姉というものは上から目線なんだな
『お疲れ. 茅野もさっき姉ちゃんにうえから目線されたわ』
『茅野も~? お疲れ様~』
『まじで姉ちゃんうざいよね~』
『同感!』
『自分より頭悪いくせに上から指示してくるし』
『わかる~それ!』
次の返信を打とうとしたときバイブレーションがなった.
知らない電話番号. 登録もしていない電話番号
誰?
なんかやだな…どうしよう…