⑨石手川駅「松山の中学校へ!」
⑨石手川駅 筒石綾奈→桜川深咲
木葉は東京大学に進学し一人暮らし.
想真は陸上の全日本高校総体で名古屋だし.
信乃は部活で18時まで帰ってこん.
今日の晩ご飯なんしよう…2人やと気が抜けちゃうな…
最近ブログのネタもつきかけてきたし.なんか退屈.
そろそろ直樹と美波が松山に帰ってくる時期かな.
桜が昨日ココに立ち寄ってくれたし,次は二人としゃべりたい!
なんて考えていたらインターホンがなった.
「こんにちは.」
制服を着た少年が立っていた.
「え? 深咲くん?久しぶり!大きくなったね!松山帰ってきたん?」
「はい.今日午後に.あの,信乃いますか?」
「信乃?いま部活行ってるんよ. 18時まで帰ってこんのよ.」
「そうですか…」
深咲くんの中学はこの時期部活はないんかな?
それにしても何故制服?
「なんか信乃と約束してたん?」
「いえ.家にいても暇だし, 一緒に河川敷でトランペット吹こうかな~と思って」
「あ!それ直樹のやね. 信乃も綾の使っとるんよ~」
「あ,父さんに聞いた事あります.」
「そうや.信乃の学校行ってみる?」
「え?」
深咲くんは困った顔をしながらも嫌だとは言わん.
意外とチャレンジャー?
一人で大丈夫やと言うけん,簡単な地図を書いて深咲くんに渡した.
面白いな~ いきなり学校に来た深咲くんに信乃はどんな反応をするか.
綾も覗きに行きたい!!なんかワクワクする~!
あ,制服のわけを聞きそびれがねまあ学校訪問にはちょうどええか.
早く信乃帰ってこんかな~.
※
地図のおかげで学校はすぐわかったけど,吹奏楽部がどこで活動しているのか全くわかりやしない.音は聞こえてくるんだけど.
なんか急に緊張してきた.完璧アウェーだしな.不審者で通報されたらどうしよう.
いや,俺制服だし,トランペット持ってるし,交流演奏に来ました~,みたいな?
職員室を見つけたので勇気を出して入る.
ちょうど吹奏楽部の先生がいたようで,話をすると快く応対してもらえた上に信乃のところまで案内してくれるという.
うちの学校の顧問と違って優しそうな人だなぁ~
ところでこの学校ドンだけ大きいんだ?
8組の教室がある.
うちの学校は多い学年でも5クラスなのに…
すさまじいな松山. 校区が広いのか? 人口が多いのか?
練習している教室に着いたらしく先生は中の生徒に声をかけてから,俺に手をふって職員室に帰っていった.
一人の女子が出てきて俺の顔をみるなり目を見開き,大声で叫んだ.
「えーっ!? 深咲? なんでここにおるん!?」
その瞬間ものすごい足音と共に全員が教室から出てきた.といっても3人だけど.
「久しぶり. いや信乃とトランペット吹きたいなと思って家に行ったら学校だって聞いて.お母さんが地図書いてくれたんだ.」
「そうなんや.ちょっと待っといてくれん?練習すんだら川行こうか!」
「え? 信乃! 誰誰誰誰?」
「信乃の彼氏?」
「どこの制服?」
みんながいっぺんにしゃべって訳わからない~.
ものめずらしそうに,食い入るように俺を見る.
なんかやめて~.
ようやく信乃が口を開いた.
「友達.幼なじみ?みたいな?松山におじいちゃんおばあちゃんがおるんよ.」
「へぇ~,そうなん.」
「まぁ教室入りぃよ. 暑かったやろ?」
「いろいろ聞かせてもらわんとね~」
「どうぞどうぞ!」
なんだか判らないけど,皆さんに囲まれて教室に入ってしまった.




