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3話
「異常発生した蜘蛛が集団で人を餌にしてる説、有り得そうだよ」
颯介が面白そうに言った。
「出ましょうよ」
「賛成、何かやばそう」
三人は、そうっとその場を離れた。幸いにも巣と卵しかなかった為、車のある場所までは何事もなく辿り着けた。
「ね、狐さんは?」
すっかり忘れられていたが、途中から姿が見えなくなっていた。
「まさか?」
「餌にな「なってない」
むつの言葉に被せるように、狐の声がした。いつの間にか人に化けていて、あちこちに、枯れ葉をつけている。
「どこ行ってたの‼危ないじゃん」
「血の臭いがしたのでな、気になって見に行ってたのだが、何だか妖しい雰囲気でな戻ってしたのだ」
尻尾と鼻の頭から横に長く伸びた髭の人間も、それなりに怪しくみえる事は、むつでさえ言わなかった。
見に行くべきなのかと、三人が悩んでいると、ずんっと地響きがした。そして、ざざざざっと大きなものが動くような音も聞こえてきた。
「ちょっと訂正、巨大化した蜘蛛が、のが面白くなりそうじゃない?」
「面白くないっすよ。それこそ専門外なんで、撤退しましょうよ」
「二人とも静かに‼見付かるとまずい」