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3話
「どのくらい前にそうなったの?」
むつが突然、話に加わった。しっかり話は聞いていたようだ。
「ふーむ。いつだったかな?」
考え込む狐を無視し、むつは颯介にそっちも行こうと言った。今度は目を閉じず、何かを考えているのかよく聞こえないが、ぶつぶつ呟いている。
「むつさん、何か分かったんなら教えてくださいよー」
「いや、ふと思ったのがさ。動物とかって餌が豊富で住み良い環境だと増えるじゃん?狐を襲おうとするくらいだもん、もしかしたら」
「人間を餌にって事ですか?そんなのあり得ないっすよ」
「死んだ人間相手ならどうかな?」
「あっ‼老衰死した死体が人に発見されず餌になったって事?」
その光景を想像したのか、だれもが口をつぐんだ。
「蜘蛛の糸を辿るってわけか」
颯介が、寄ってたかって切れないといいけどねぇ、と言った。