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2話
来客用のソファーに座った、がたいの良いスーツ姿の男は、ぐるりとよろず屋の社内を見渡した。
「今日も社長はお出掛け?」
向かい側に座っている颯介は、何も言わずに苦笑いを浮かべるしかなかった。その通りであったからだ。
「むつさんの予言は当たるんですね」
はぁーっとため息をつく祐斗を見て、スーツ姿の男、先程むつが言っていた宮前こと、宮前冬四朗は不思議そうな顔をした。
「むつが、どうかしたのか?」
そう言えば、むつの姿が見えないが、と冬四朗は首を傾げた。
「いえいえ、それでご用件は?」
颯介と祐斗は、何となく聞きたくは無いな、と思いつつも冬四朗に話をするよう促した。