3話
翌日、むつの熱は少し下がっていたが喜べはしなかった。冬四郎が来てきたのがバレてしまい、不機嫌なのだ。
つっかり狐が喋ってしまったのだ。
それでもまだ、熱の高いむつは、布団をしっかりとかぶっている。
「むっちゃん、そろそろ出てきて。宮前さんが解熱剤くれたから飲んで」
ようやく布団から顔だけを出したむつは、ふんっと鼻で笑った。
「あんなヤツからの薬なんていらん」
真っ赤な顔のむつは、すんっと鼻をすすると、それよりもと枕を引き寄せ、顎を乗せた。
「夜、何にもなかった?」
颯介も祐斗も特にはと言うと、むつは、しばらく考えるように唸った。
「あの、気になってたんですけど仮に本当に蜘蛛の仕業だとして何で、狐を?」
「肉食だから、とか」
「変じゃないですか?あんなにちいさいのが大きな狐をって」
「過去にジョロウグモが鳥を餌にした例はあるけどね」
「それでも変ですよ。糸を巻いて引っ張るにしてもかなりの力がいりますよ」
「蜘蛛…か」
むつは、そう呟くと布団から出た。
「山組まだ回ってないよね?とりあえず行こう。何か分かるかもしれないし」
「分からなかったら?」
「頭を使うよ」
むつは、そう言うとさっさと服を脱ぎ始めたので、颯介と祐斗は慌てて出た。