83/157
3話
むつが寝ている間に、颯介と祐斗もシャワーを浴びて着替えた。そして、狐たちと共に炬燵でうたた寝をしていたようで、気付くと外は真っ暗だった。
「むっちゃんに何か食べさせないと。その前に祐ちゃん、様子みてきてくれ」
祐斗がそっと寝室の襖を開けると、むつは布団の上にあぐらをかいて、顎に手をおき座っていた。
「むつさん、起きて大丈夫ですか?」
「ちょうど良かった」
手招きをされ祐斗が、そろそろと寝室に入ると、むつに札を四枚渡された。読めないが、何か書いてあるようだ。
「これを社務所の四隅に埋めてきて。結界になる」
「必要なんですか?」
「念のために。あれば、それなりに、安心は出来る」
むつは、それだけ言うと再び布団に潜っていった。そして、ついでに、と濡れたタオルも返された。
颯介にむつから札を渡された事を言い、祐斗は言われた通りに四隅に札をしっかりと埋めてきた。