82/157
3話
「ちょっと休もうかな」
ふうっと息を吐くとむつは、立ち上がろうとしてろよめいた。
「むつさんっ‼」
祐斗が咄嗟に手をだして、むつを支えたので倒れずには済んだ。
「湯野さんっ‼むつさん熱あるんじゃないですか?」
颯介がむつの額に手を置いて、そうみたい、と言った。颯介に連れられてむつは布団に寝かされた。そして、隣にまだ目を覚まさない狐を寝かせた。
「寝かせておこう。薬とかは何も…ないか。あとは、祐ちゃんは社長にメールしといて」
布団に横になったむつは、すでにうとうとしているようで、懸命に目を開けようとしている。だが、すぐに諦めたように目を閉じた。
「むつ殿は毒にやられたのだろう。仲間が噛まれたと言って意識を失ったのだ」
部屋に入ってきた狐が、仲間の前足の付け根部分の毛を掻き分けた。
「小さいが噛み後だ。すぐにむつ殿が傷口から毒を吸い出した。それが影響しているのだろう」
仲間も凄い熱だ、と狐は言いむつの額に濡らしたタオルを置いた。