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3話
『もしもし‼助けてくれっ‼』
「場所は?沼地なんてあったかの?」
切羽詰まった仲間の声に狐も動揺したのか、尻の部分からふかふかの尻尾が出てきていた。だが、颯介も祐斗もそれに構っていられなかった。
『山を削ってる所の奥だ‼昔、公園を作るとかって話の出てた所だ』
「分かった。直ぐ行くからな」
乱暴にも颯介に車に放り込まれた、祐斗の上に同じく狐が落ちてきた。
「どこだ!?」
「駐車場を出て左の道だ。山道をのぼっていってくれ」
狐に道案内をしてもらい、颯介がぐっとアクセルを深く踏み込んだ。くねくねとカーブの多い道を猛スピードの車がのぼっていく。
何とか狐をどかし起き上がった祐斗は、運転席にしがみつくようにしてバランスを保っていた。ふと、スピードメーターをみると軽く100キロは出ていた。
車に酔ったのか、颯介の意外性を見たからなのか、祐斗は目眩を感じた。