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3話
「お、おいっ‼」
先を歩いている狐の腕を颯介が、咄嗟に掴んだ。
「尻尾が出てるぞ」
「おお、久しぶりだから不完全だったか。…どうだ?あとは、どう見ても人だろう?」
機嫌良さそうにくるっと回ってみせる狐に、颯介と祐斗が困ったような笑みを浮かべている。
「それで、だな。ほら、ここが幼稚園ですぐに小学校だ。運動場の大きな遊具のある、そう奥の方だ。山の影になってる辺りで下校前の子供が消えた」
祐斗が小学校と山を描き込み、×印をつける。さらに、その奥の遊具でも二人行方不明になってた、と狐が言った。
「小学校内だけで、3人も?」
「そうだ。学校も山に囲まれているし遊具に登ればそのまま、山の中に入れる。それで最初は山の中で迷子になったんだと言われていたが」
「行方不明者が増えるにつれ、その子たちもそうなんじゃないかってなったって事だな?」
「そうだ。確かここで子供が立て続けに行方不明になったのが、家畜の後に起きたんだ。山狩りもしたが、何も出てこなかったと聞いている」
我らも密かに夜のうちに探したのだ、と狐が寂しそうに言っていた。