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3話
「い、つー…祐斗殿のは意外と力があるのだな。今のは痛かった」
頭を擦りながら狐が、あっと声を出した。颯介が車をそっと路肩に止めた。
「この辺が1番最近だ」
颯介たちは、山側から民家がある方に向かっている途中だった。どうやらこの土地は、山と民家の点在するあたりとの境目には川が流れているようだった。
「ここを真っ直ぐ行き、左に曲がった道を下ると、牛舎などがある民家の方に出る。で、田んぼの回りを囲むように点々と家があるのだ」
狐の説明を聞きながら、祐斗が地図を描いていく。現場となった場所と神社から車で通った道もしっかり描いていく。
「この辺りは、たぐみ、だ」
「たぐみ?」
「そう。田んぼ、畜産、畑を仕事にしていてな。田んぼの田をとって、この辺一帯をまとめて、田組と言われてるんだ」
祐斗からカレンダーとマジックを受け取り、これから通る道を書き足し
「ここが別れ道で、さらに山組は2つにわかれているんだ」
「やまぐみ、だぐみ、ねぇ」
颯介も運転席から、手描きの地図をのぞきこんでいる。