3話
蕎麦をすすりつつ、狐たちがあれこれ説明するのを、三人はしっかり聞いた。颯介の言う通り、見知らぬ土地での大切な戦力となっていた。
「最初は家畜だったのか…で、ここ最近では1週間に1人くらいのペースね。ふん?家畜の時は1度に大量にか」
カレンダーを破りとり、その裏に簡単な地図を書き、どこら辺に民家が点在してるのか、被害が起きた場所、最後に目撃された場所を書き込んでいく。
「狐さんたちって昔はただの狐のよね?昔は、こんな事なかったの?」
「ここ、二百年くらいは何もないな。その前の事になると分からぬ」
左手にマジック、右手に箸という器用さを発揮しているむつが、蕎麦を持ち上げて、管狐にも食べさせている。
「それにしても…広範囲に民家点在しすぎ‼何て言うか陸の孤島の集落って感じ」
「で、むつ殿は式をどの辺に向かわせたのだ?」
「ここへん?昨日、山の奥の奥って聞いたから、神社から真っ直ぐとやや東よりの方に散らばらせたんだけど」
「全滅とな。能力が低いのか?」
狐の言葉に、カチンときたのかむつは、もごもごと何かを唱えた。すると狐の髭の近くに炎が灯った。
「おぉ‼」
髭の全てを焼く事はなく、くるんと巻き毛のようにさせて炎も消えた。
「今夜はあんただけ、おあげなし‼お菓子もなしだからねっ‼」