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3話
カサッと落ち葉を掻き分けると、湿った土がみえてきた。むつは、足元の枯れ葉をある程度どけてみるも式神の破片さえ出てこなかった。
「もぅちょい先まで行こうかな」
立ち上がると、さっさと歩き出した。
「どこまで行くつもりですか?」
慣れない山道を歩いた為か、祐斗はすでにバテぎみだった。
「祐ちゃん戻っても良いよ?」
「けど、」
「颯さんとなら戻れるでしょ?それに戻るならやっといて欲しい事がある」
「むっちゃん1人でこの山の中に入るのはダメだ。それなら狐を連れて行った方がまだ、マシだ。1度戻ろう」
颯介にそう言われ、むつも渋々頷いて来た道を戻る事にした。
「そういや、むつさん…何であそこの狐らを調伏しないんです?」
「害をもたらしてないでしょ?悪い事も迷惑もかけてないんだから」
「なるほどね、害がないのはほっておけばいいって事だね」