60/157
3話
「野良猫や野良犬が捕まえちゃった可能性もあるけどね、鋏っぽく見えたのは牙の可能性もあるから…けど、余程ビリビリじゃなきゃ戻ってくるはず」
丸飲みされたかな?とむつは、わざとおどけたように言った。
「…地図がいる」
そう呟くと、社務所に戻ろうとしてふと足を止めた。祐斗が不安そうに、むつを見ていた。
「ねぇ、しろーちゃんから何か連絡とか来てる?」
「いや、資料も何もきてないな」
「資料は必要ないって言ったから。人間絡みじゃないからね」
「これから、どうします?」
「やっぱり、夜動きたい。けど、そうね…とりあえず、式が居なくなった場所の特定かな」
「車?」
「歩く」
そう言うと、むつは靴を履き替えに社務所に入っていった。