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3話
社務所の中に戻ると温度差で、むつの眼鏡が曇った。眼鏡を外すと丸くなって眠っていた狐をどかし、さっさと炬燵に潜っていった。
颯介が熱い茶を入れてくれたので、それを有り難く受け取り、すすった。
一緒に入ってきた式神が、キッチンから団子を持ってきた。それを受け取り、むつは食べ始めた。
「それ、いいんですか?」
パックを差し出され、祐斗も一緒になって食べ始めた。最後の1本は颯介だ。
「やっぱ、お茶には甘い物ね」
灰皿と湯飲みを床に置き、むつは寝転んだ。式神の持ってきた人形の紙を数枚、まとめて両手で包み込んだ。
人の大きさになった式神は、ドアの隙間からするすると出ていった。
「何するんだい?」
「探らせる、一気に放すから疲れちゃうけどね。安全だから」
「何でも出来ちゃいますね」