3話
食欲旺盛な狐3匹に颯介と祐斗で、あっという間に鍋は空っぽになった。最後のパスタもぺろっと平らげた狐たちは満足そうに口の端を大きく持ち上げている。
片付けを終えたむつが、居間に戻るとすでに狐たちは、うとうとしていた。
「お酒出さずに済みそうね」
こっそりとむつが笑うと、颯介と祐斗とつられて笑った。
よくやく狐たちに慣れたのか、祐斗がふかふくの毛を撫でている。
「しっかしまぁ妖怪ってこんなにも人に慣れてるもんなんですか?」
「この子らは人の中で生活してるからじゃないの?」
かなり人里からは離れてるけどさ、とむつは付け加えるのを忘れなかった。
「ねぇ、颯さん。これじゃ夜出てきた意味がないよぉ」
「むっちゃんは突っ走るからなダメ」
「祐ちんっ‼黙ってないで味方して」
そろそろ一息と思ってるのか、茶をいれタバコをくわえたむつに睨まれた。
「まぁ、外に出てみるだけなら…俺らから離れなかったら大丈夫じゃないですか?」
意外な援護にむつが嬉しそうに笑う。
颯介は、悩むように唇を噛んでいたが、それならば、と言ってくれた。
「ただし、俺たちから離れない事。約束出来ないなら首輪かわりに紐で括っておくからね」
そう言うと、懐中電灯やロープを出してきた。どうやら、本気で括ってまでおこうと思っているようだ。