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3話
そろそろ鍋も出来上がりそうな頃、狐たちも戻ってきた。颯介も掃除やらを終えたようで居間に入ってきた。
むつは、焼けたおあげに鰹節と醤油を垂らし生姜の微塵切りを添え、あっという間に卵焼きを作った。
テーブルに料理が並んでいくと、狐たちが嬉しそうに尻尾を揺らした。
最後に鍋を置き蓋を外した。
「何と白いではないか‼」
「豆乳鍋だよ。美味しいんだから」
「颯介殿もしかしてむつ殿は、少し変わった人間なのか?」
「失礼な‼食べたら分かる‼」
器に取り分け、颯介と祐斗が食べ始めた。それを見て、狐たちもようやく箸を取り、恐る恐るといった感じで食べた。
「おぉ‼うまい」
「むっちゃんは料理上手ですから」
颯介と祐斗も、もくもくと食べていく。
「それで、見て回ってどう?何か怪しい場所とかはありましたか?」
白菜をふぅふぅと冷ましながら、むつが肝心な話をはじめた。
「山の方だな、この奥のまた奥だ」
「何かは確認した?」
葱の入った卵焼きを頬張りながら、狐たちは、そろって首をふった。