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3話
狐たちと荷物を下ろしたむつたちは、社務所の中に入っていった。
パチリと電気がつき、暖房が入れられた。むつは、慣れた様子であちこちを見て回り台所を見付けると、買い物袋を置いて中身を取り出した。
「むつ殿、いったい何を?それから部屋はあの男たちと同じでも良いか?数がないもんでな」
「ええ、ご迷惑をおかけします。で、夕食を作ろうかと思いましてね」
「あ、遊びに来たのか?」
「まっさかぁ。仕事ですよ、けどお腹も空くしご飯食べてから。食べるでしょ?で、昼間にお願いした事の方はどうですか?」
二本足で立ち上がった狐が、むつのする事を珍しい物でも見るようについてまわっている。
「それが、まだ」
「何にも妙な感じしませんもんね。この辺じゃないのかな?あ、冷蔵庫ちゃんと使えるね、えーっとコンロも…良かった。なら、この菓子と酒は今夜調査に出てからって事で」
「む、ふむ。そうだな」
まな板を取り出したり、鍋を出したりする横をちょろちょろする狐が邪魔なのかむつは、苦笑いを浮かべた。
「何を作るのだ?」
「鍋にしようかと。同じ釜の飯を食えば仲間って言いますしね」