3話
真っ暗な社務所の中をみると、さっと何かが動く気配がした。
むつは、懐中電灯を消した。すると辺りは真っ暗な闇に包まれた。むつが何をするのかと気が気ではない、颯介も祐斗も真っ暗な中、ただ動けずにいた。
「狐さん、むつです」
真っ暗な中、むつがそう言うとガサガサと茂みが動いた。気付くとむつも颯介、祐斗も何かに囲まれていた。ガサガサ、ガサガサと葉の擦れる音しかしない。
「後ろの男らは、昼間のとは違うな?」
「ええ、同僚ですので」
「なんと‼管狐が。同族が」
ぽぽぽっと灯籠に火が灯った。
「お菓子とお酒持ってきたんです。仕事でしばらく、ここに泊まっても良いですかね?」
右側から、灯籠の光が当たり、影の出来ている、むつの顔は、妖怪なんかよりも、より恐ろしく見えた。
「菓子か…カステラか?」
「今度は団子と管狐の選んだ、お饅頭にお酒、それからご飯を作ろうかと、ね」
むつが、車を指差した。
「そうか、ふむ、…それならまぁ良いだろう。荷物を運んでやろう」
いそいそと狐たちが、車に近付いていくのを颯介と祐斗が驚いたように見ていた。それを見て、むつはにやりと笑った。
「餌付けは大事ね」