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3話
車をゆっくり走らせていくと、むつが青い炎を持って立っていた。確かに細い道が見えた。それも、簡単に見落としてしまいそうな程だった。
車が曲がってくるとむつは、炎を持ったまま、細い道を奥へと進んで行ってしまった。
「ついてこいって事だね」
「よく、こんな道を平気で歩きますよね。ホントにあの人、女の子?」
「特に危険がないのかな?」
一定の距離をおいて、むつの後を追っていくと、コンクリートの道が石畳に変わっていた。
むつが立ち止まったのか、青い炎も消えていた。その代わり、明るい黄色っぽい光が車に向けられた。携帯のモバイルライトを使っているのだろう。
「懐中電灯かして」
車から降りた颯介が、懐中電灯を渡すと携帯をズボンのポケットにしまうと、懐中電灯をつけ、石段をのぼっていった。
灯籠も何もついていない参道を歩き、社務所のドアをおもむろに開けた。
「頼もしいや」
「むっちゃんが居て良かったよね」