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2話
「まぢかよ!?むつさんて無謀なの?怖いもの知らずなの?バカじゃん‼」
ようやく取り出した懐中電灯で、あたりを照らしてみるも、むつの姿はない。
「湯野さんっ‼どうしよ‼」
「落ち着きなさい、むっちゃんあれ持って出てるから、滅多な事はおき、な…」
颯介の言葉が途中で切れた。少し離れた場所で、ぼうっと燃える青い火が見えたのだ。
「むっちゃんか…怪しいものか判断つかないな」
炎は消える事も大きくなる事もなく、ゆらゆらと揺れている。颯介が悩んでいると携帯が鳴った。むつからだ。
『颯さん、ここっ‼』
「その炎はむっちゃんの?」
『そーだよーっ‼』
耳が痛くなる程の大声がした。むつの、その大声は電話越しの颯介だけじゃなく祐斗にも聞こえていた。
どうやら、電話で話しつつも大声で場所を知らせようとしてくれたようだ。
「耳が痛い」
電話を切り車に乗り込むと、ゆらゆら燃える炎の方に向かって車を走らせた。
「むつさんてわりとバカ?」
「確実に、むっちゃんは目を離したらダメなタイプ。今ごろ気付いた?」
「いえ、再確認出来て何よりです」