2話
三人は、途中で立ち寄ったスーパーで大量の買い物をした。主に食材や菓子と少しの酒類、懐中電灯やロープなども。
しっかりとレシートを受け取ったむつ。
「あの、むつさん…本当に全部支払って貰っちゃったけど、良いの?経費出るかも分かんないのに」
「依頼者に請求する」
「え、あ、そう、ですか」
買い物袋を持って車に向かっていくむつを、祐斗が不思議そうに見ていた。
「何か機嫌悪そうですね」
「うーん、疲れてるのかな?」
荷物をトランクにつめ、神社に向かった。昼間通った時でも薄暗く寂しい県道だったが、夜はもっとだ。外灯も少なく対向車もない。見渡す限り森で、ヘッドライトが届かない場所は闇が広がっているだけだった。
「むっちゃん、で神社は?カーナビには表示されてないんだけど」
祐斗も後ろからカーナビをのぞきこむ。どう見ても1本道で、他に何も表示されているものがなかった。
「もうちょい先かな?右に曲がれる細い道があるはずなんだけど」
道のはしに車を寄せて、颯介が心配そうにカーナビを見つめる。
「うーん?何の表示も道っぽいものもないんだけど、大丈夫?」
「見てくるよ」
言うが早いか、むつはシートベルトを外して外に出てしまった。慌てた颯介が祐斗に言い懐中電灯を出そうとしてる間にも、むつの姿は闇にとけていった。