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2話
祐斗とも合流し、颯介の運転する車は、函納市に向かった。
「むつさん、今さらだけど着替えとか持って来たけど、どこに泊まるの?」
「神社」
「あ、狐が居るって所?」
「そう。だから、その前にスーパーとかでお買い物しないとね。わたしらのご飯も必要だし、お土産も必要だし」
祐斗が、後部座席で心底イヤそうな顔をして居たが、暗くなっているので誰にも気付いて貰えなかった。
「お土産って?」
「餌付けするの。さっきはカステラ持って行ったんだぁ」
「え、おあげじゃなくて?」
「それで、キッチンから箱ごとカステラが無くなってたんだね。管狐がうろうろしていたわけだ」
「妖怪は甘いものが好きなのかもね」
くすくすとむつが笑うと、颯介の襟からするっと管狐が出てきた。そして、するするとむつの膝の上に乗った。
むつが、撫でてやるとそので丸くなり目を閉じて眠ったようだ。