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2話
「たっだいまーっ」
むつが戻ると、すでに社長は居らず颯介と祐斗が出迎えてくれた。むつは、デスクを通りすぎ奥の会議室に入った。会議室といっても、パーテーションで区切ってテーブルを置いてあるだけの、簡単なものだが。
「収穫は?」
颯介と祐斗も入ってきたのを確認して、むつは取ってきたパンフレットを並べた。
「宮前さんは?」
「知らないわよ‼それより社長は?」
「あ、帰ったよ。定時だからって…何か用事でもあったの?」
パンフレットを見ていた颯介が、顔を上げて、特に何もなさそうな資料館だね、と笑った。
「無いけどさ。もぅ17時か、用意をして、また戻りたいって言ったら、二人とも反対する?」
颯介と祐斗は、顔を見合わせた。
「…ん?祐ちゃんさ、レポートしてたよね?後期の試験終わってるのに何で?レポートが試験の代わり?それとも追試代わりかしら?」
「試験の代わり、けど終わって送ったから大丈夫」
「バイトで単位落とした何て辞めてよ。わたしでさえ、ストレートで卒業してんだからね」