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2話
「この地域には蜘蛛の種類が多い、のかな?普通が何種か分からないけど」
標本があるなら種類が多いのだろうな、そう呟き、右手にで顎を触ろうとして冬四朗が巻いてくれたマフラーに気付いた。少し躊躇った後、そっと顎を撫でながら、何かを考えるようにじっと蜘蛛の標本を見ていた。
しばらく考えるように、顎を撫でていたが、その場から離れた。興味もなさげに点々と置かれているケースの中をのぞきこみなが、歩いていった。
そして、入り口の所まで戻ってくるとパンフレットや説明が書かれた物を1つずつ全種類を持って外に出た。
「帰る、か」
螺旋階段をおりようとして、むつは足を止めた。登ってきた左側の階段まで向かうか悩んだのだ。
「ま、いっか」
気にしなきゃいいか、とむつは軽い足取りでとんとんとんっと降りていった。