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1話
キッチンの方から水の流れる音だけが、静かに聞こえてくる。
ここ、よろず屋は万年暇をもて余している、何でも屋である。デスクは3席ずつが向き合う形で設置されているが、使われているのは3席のみ。
少し離れた場所に独立してあるデスクが、社長の物だが、そこに座っている姿を滅多に見ることはない。
今日もスロットをしに出ている。と、言うよりも出社すらしていないのでないだろうか。
何故、こんなに暇な会社が潰れずに、そもそも会社として成り立っているのかは、さておき。
潰れずに存続しているのには、他所には言えない理由があるからである。