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2話
「んで、むっちー帰ってくる?」
カチンッとジッポライターの蓋を開け、社長は堂々とデスクでタバコを吸い始めた。
『手ぶらなんで、とりあえず』
「危険性ありって事?」
『分からない事が多すぎるからね、だってさ、だーれとも出会ってないの、畑にも田んぼにも人居なくって。まぁ冬だからかもだけど』
キッチンから灰皿を取ってきた颯介が、社長の前に置く前に長くなっていた灰がポトリと落ちた。
「あっ‼」
『どーしたの?』
「社長がデスクに灰落とした」
『はぁぁ!?キッチン行けよ‼あほ誰が掃除してると思ってたんのさ‼』
そう叫ぶとむつは、電話を切ってしまった。ツーッツーッとむなしい音だけが聞こえてきた。
「そうちゃん意地悪だな」
散らばった灰を集め灰皿に落とし、デスクにあったティッシュでさっと拭った。
「さて、むっちゃんが帰ってくるまで何してましょうかね?」
「やる事なないね、そうちゃん、ある程度は調べたんだよね?それも見せて」
「はいはい」