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2話
「湯野さん、むつさんと飲みに行くんですか?俺も誘ってくださいよ‼」
「あ、俺も俺もーで、むっちーは?仕事入ったって連絡あったけど、もぅ行っちゃった?」
自らコーヒーをいれて、デスクにどっかりと座った社長は、颯介から受け取ったファイルの資料をパラパラ眺めていた。
「みやちゃんからね、はいはい。ゆっちー電話して現状確認して」
「あ、はい‼」
ゆったりした喋り方のわりに、テキパキと指示をだし社長は、コーヒーをすすりながら、ふぅんと唸った。
『もしもーし?』
「あ、むつさん。今どこなんですか?」
『ん、函納の資料館に向かってる。その後はまだ、決めてないけど』
「何か分かりましたか?」
颯介と社長が気にしている様子が分かったので、祐斗はスピーカーボタンを押し、二人に聞こえるようにした。
『いや、何にも。けど、思い出したのは、宮司が狐な神社があるって噂の所ね。本当だったよ、で、そいつらが言うには、妙な気配と人が消えてるのは、同時期っぽい。あとねぇすっげぇ田舎で移動手段に絶対に車が必要って事かなぁ』