2話
「あーやっぱ、俺もむつさんについて行けば良かったぁ」
祐斗は、デスクに突っ伏した。一緒に行ったらで、今度は颯介と居れば良かったと、愚痴るに違いないだろう事は、颯介にも想像がつくので何も言わない。
「社長、すぐ戻るって言ってたし、俺たちもすぐに出れるよ」
颯介は、まだ冬四朗から資料が送られてこない為、独自で調べているようだ。だが、室内で調べられる事にも限界があり、そろそろ手詰まりのようだ。
「社長のすぐは1時間は軽く越えるんじゃないですかね?」
「それは…まぁそうなんだよね。それよりも、むっちゃんからも何にも連絡ないのも気になるね」
「宮前さんと仲良くしてるんじゃないんですかぁー」
「妬いてるの?」
コーヒーのお代わりを入れに行こうとしていた祐斗は、ピタッと動きを止めた。
「いや、そーじゃなくて…何て言うか、そのー」
「ま、大丈夫だよ。あの二人は、お馴染みなんだってさ。それに、むっちゃんには好きな人居るんじゃなかったかな?」
「ええーっ‼」
バンッと開いたドアの前に、無精髭姿の50代の男が立っていた。
「まぁじぃで?むっちゃんに好きな人かぁ。それ何で知ってんのさ?」
「社長、意外と早いお帰りで。…前に飲みに行った時に聞いたら、そんな事を言ってましたよ」