2話
「待ってた‼」
炬燵から出たむつは、冬四朗の持って来ていた袋を受け取った。そして、中からいくつかの箱を取り出して狐たちに渡した。
「タバコとカステラってお前が待ってたんじゃなくて、狐たちにか?」
「そう。話を聞かせて貰ったし、協力してくれるんだってさ」
「え?まだ協力するのか?我らが?」
「あれ?違うの?なら、必要ないか。しろーちゃん帰ろっか」
さっと、箱を取り上げてむつと冬四朗は出ていこうとするのを、狐たちが前に立ちとどめた。
「いや‼協力する‼」
「あら、そう?ありがとう」
にんまりと笑ったむつは、タバコとカステラの箱を渡して、さっと座った。
「では、狐さんたち。言ってた変な気配がなんなのか、是非探しておいてくださいな」
「それ、我らにとって危険なんじゃ?」
「けど、妖怪っていう、同類で…」
「だーっ‼」
むつの言葉は、狐の声に寄ってかき消されてた。訝しげに振り向くと、カステラの箱を持った狐が、むつと冬四朗を睨み付けていた。
「なんですか?」
「何なんだ、この変な色は‼」
むつに向かって投げつけられた箱を、冬四朗がとっさに受け止め、中身をみた。二人にとっては特に不思議もない淡い緑色のカステラだった。
「腐ってるではないか‼」
毛を逆立てて怒る狐たち。
「あ、むつの好みに合わせたからな」
「しろーちゃん、わたしの好み覚えててくれたんだぁ。嬉しいなっ」