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2話
暖かい部屋で、炬燵に入って、ごろごろと過ごしていたむつ。時折、携帯を眺めては、また目を閉じていた。
むつが、そうして過ごしている間にタバコの箱はあっという間に空になっていた。
「なあ、お嬢さんよ」
「なんです狐さんよ、わたしの名前は玉奥むつですよぉ」
「はいはい、むつね。良いのかね?こんなに、のんびりと過ごしていても?調査に来てるんだろう」
うつ伏せに寝ている横で、同じような体勢の狐の大きくふかふかの尻尾を、むつは楽しそうに撫でている。
「ま、もうちょい待ちましょ。そう言えば、前にも人間が来たんじゃない?」
「ついこの前、同じような事を聞きに来た男が居たっけ」
尻尾で遊んでいたむつは、にっこりと笑して、やぱしろーちゃん来たんだねぇと笑った。
「ん、来たかな?」
ゆっくりと車の音が近付いてきた。すると狐が外を見てくると出ていった。
「この前の男と知り合いなのか?警察とか言っていたし、我らの事も承知していたぞ」
「そ、幼馴染みかな?」
狐に連れられて入ってきた冬四朗は、寝転んで、狐の尻尾を撫でているむつと、黙って尻尾を触らせている狐を見比べて寸の間黙った。