150/157
5話
ぺらぺらの式紙が、祐斗を下から睨み付けている。目も口もないので、睨まれているのかは、分からないが祐斗はそう感じた。
「むっちゃん、もぅ大丈夫かい?」
「まだ9度ちょいある。請求書出来たか聞こうと思ってね」
「仕事熱心ですねぇ、請求書は出来てます。家まで持って行きましょうか?ぺら紙には持てないでしょうし」
祐斗は、バレたのならばと堂々とペットボトルの口を開けて飲み始めた。
「ん、あんたは出禁よ‼颯さん、予定なかったら帰りにお願いしてもいい?」
「あぁ、勿論。他に何かいるかい?」
「大丈夫、さっき…ん、まぁ来るときに連絡ちょうだいね」
それだけ言うと、ただの紙に戻ったようで、ひらりと床に落ちた。
「さっき、何でしょうね?」
「さぁ?」
颯介は、人形を拾い上げるとむつのデスクに置いた。