2話
不貞腐れた様に唇をつき出してるむつを見て、冬四朗がにやりと笑った。
「何だよ、俺がそーゆーの信じてないとでも疑ってたか?」
「まぁね。しろーちゃんと再会して、まだそんなに日が経ってませんのでねぇ」
十年ぶりくらいに再会したの去年だし、とむつがぶつぶつと文句を言った。
「何度か仕事も一緒にしてるだろ?」
「んーまぁ…けど、しろーちゃんは警官だしさ、非科学的な物はさ」
「お前が言うかそれ」
呆れたような冬四朗の笑い声に、むつは安心したような笑みを浮かべた。そう、去年の夏に、まだそれから半年程しか経ってない。
真冬の空は今にも雪が降りそうに、灰色に染まっていた。それでも、むつの座る助手席の窓だけは、冬四朗が少しだけ開けていた。
「ま、いいさ。調べるよ」
むつは、はにかむように笑った。
「あ、もうすぐ着くけど、神社まで行こうか?」
「ん、適当に降りるよ。少し歩いて周りを見ておきたいし」
「分かった。で、調べてる間は、行き来するのか?面倒ならうち泊まるか?」
「はぁぁ!!?」
心底、驚いてるむつを意外な物でも見るように冬四朗が見ていた。
「な、何でだよ‼わたし年頃の女の子だっつーの‼」
タイミングよく赤信号で止まったのを機会に、むつは車から降りた。
「おいっ‼ここからじゃわりと歩くぞ」
「しろーちゃん、バカでしょ‼」
バンッと勢いよくドアが閉められ、むつは振り返りもせずにさっさと歩いて行ってしまった。その後ろ姿を見ながら冬四朗は、眉間に皺を寄せていた。
「何で怒ったんだ?十年も会ってないと、性格も変わるもんなんだな」
冬四朗は、首を傾げつつも仕事先である警察署に戻っていった。